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2026年9月28日

〈新大臣インタビュー〉井林辰憲 国土交通大臣 交通空白の解消、まずは日本版ライドシェア活用拡大で

国交省の官僚から政界に進出し、自民党では物流調査会長やITS推進・道路調査会の事務局長などを務めた。「自動車産業がわが国最大の輸出産業であるという前提に立ち、しっかりした政策をつくっていくべき」と、古巣でリーダーシップを発揮する。

 

―先進技術の進展を踏まえた自動車政策への取り組み

「自動運転技術は、交通空白や物流の担い手不足の解消、安全な交通社会の実現に効果的であり、わが国の自動車メーカーが実用化をリードするという観点も含め、重要な課題だ。国交省は、一日も早い本格的な自動運転社会の実現に向け、自動運転社会実装本部の下、各地の取り組みの支援や技術開発・普及を推進している。インフラ側の走行支援など、安全性の確保を大前提に全力で取り組む」

「特に重要なのは、人工知能(AI)を活用した自動運転の開発・普及であり、『レベル2++(プラスプラス)』の優良車認定制度を創設することとしている。制度により、自動車ユーザーが安全性の高いシステムを搭載した車両を選択しやすい環境を整備していく」

―トラックドライバー不足など、物流の課題への対応は

「3月に取りまとめられた有識者検討会の提言では『対策を講じなければ、2030年に(平均)約7%、最大25%の輸送力不足が生じる』と試算している。そこで『総合物流施策大綱』では、高速道路の『レベル4』(特定条件下での完全自動運転)トラックの早期社会実装や、陸・海・空すべての輸送モードを総動員した新モーダルシフトなどの物流効率化を掲げた」

「トラック・物流Gメンを活用した荷主への是正指導による商慣行の見直しや、トラック適正化二法の円滑な施行を通じた輸送業界の健全化も図っていく。物流のデジタル化・標準化を通じた物流DX(デジタルトランスフォーメーション)も進める。総合物流施策大綱の初年度にふさわしい予算要求をしており、しっかり形にしていきたい」

―日本維新の会から入閣した中司宏規制改革相がライドシェア全面解禁に言及している

「規制緩和や構造改革の議論を一切受け付けないというつもりはないが、有償で旅客を運送するサービスでは、適切な運行管理や車両整備など安全の確保、事故時をはじめとした輸送の責任、ドライバーの適切な労働条件の確保が重要だ。自家用車のドライバーのみが運行責任を負う形で行うことは、安全確保や利用者保護の観点から問題がある。まずは日本版ライドシェアの活用拡大を進め、交通空白の解消を図っていく」

―自然災害やインフラ老朽化への対応は

「激甚化・頻発化する自然災害やインフラ老朽化などの危機から国民の生活や財産を守り抜き、強い経済を下支えするため、第1次国土強靭化実施中期計画に基づき防災・減災・国土強靭化の取り組みを全力で進めていく。ハード・ソフトが一体となった事前防災の強化や、予防保全型のメンテナンスにより危機管理投資を着実に進める。また、企業の生産性向上を支える人流・物流ネットワークの整備、国内の戦略的な産業立地を支えるインフラ整備により、日本経済の潜在成長力を強化する成長投資も促す」

―今年の自動車税制改正議論への考えは

「電気自動車やプラグインハイブリッド車、燃料電池車など、マルチモーダルでバランスの良い税制、安全面がしっかり担保された税制を追求していきたい。(税制調査会の)インナーや党内ではいろいろな議論をしてきた。この場で思いを話すことは控えるが、大臣としてまず、こうした点に注力したい」

〈プロフィル〉いばやし・たつのり 2002年3月京都大学大学院工学研究科修了、同4月国土交通省入省。中部地方整備局地域道路課長などを経て、12年に静岡2区で初当選。環境大臣政務官、内閣府副大臣(経済財政・金融等担当)などを務めた。1976年7月生まれ、50歳。東京都出身。

日刊自動車新聞9月28日掲載