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2026年8月17日

〈インタビュー〉日本自動車工業会、設楽元文副会長 二輪車を文化に 保有台数に目を向けアプローチ

国内二輪車市場は40万台を切り、縮小傾向が続いている。一方、保有台数は1000万台あり、日本自動車工業会(自工会、佐藤恒治会長)の二輪車委員会は、アフターマーケットを含めたアプローチの重要性を呼び掛ける。同委員会委員長も務める設楽元文副会長(ヤマハ発動機社長)に業界の現状や展望などを聞いた。

―事業環境の不確実性が高まる中、競争・協調領域をどう捉えるか

「今までは各社の努力値で突破できていたが、(資源問題など)国家全体で取り組まないといけない状況だ。『総力戦で取り組もう』というのが自工会の最大のテーマだ。協調領域は資源。欠品してから対応しても遅い。戦略的に協調してやるべきだ。加えて、日本は四輪・二輪で優位性がある。最終的に覇権を獲るためには(生産などの)インフラの整備が重要だ。例えば、日本は人口減少で(人手で)生産性を上げるにも限界がある。生産性のベースとなる人材に代わる効率性を求める仕組みをつくらなければいけない。競争領域は日本の強みである製造と技術。この2つは独自に磨き続けないといけない。人工知能(AI)を導入した製造の革新や、人による生産性向上といったインフラ面は協調領域でよいが、各社ともに磨くべきところを徹底することで刺激し合い、切磋琢磨すれば競争力を維持できる」

―国内二輪車市場をどうみる

「国内は需要が伸びる状態は期待できない。成長期は通勤や通学、買い物など今まで自転車や徒歩だった移動をバイクに替えることで台数が伸びる。今は東南アジアやインド、アフリカで広がっている状況だ。日本はこの領域を通過している。40万台を切るレベルとなると、ユーザー1人とバイクの接点を大切にしなければいけない。長く保有してもらうために、人間の価値観に触れるような製品を造って供給していく。メーカーはこれまで売り切り型ビジネスだったが、今後は保有台数に焦点を当てていくべきだ。保有台数は1000万台ある。常に保有ユーザーの活動が(カスタマイズなどで)活発化していると、商品が欲しくなる。そのために文化として二輪を根付かせたい。国内販売40万台の需要に対しては考え方を変え、(保有に対して)アプローチして活性化する」

―二輪文化浸透のためのイベントも多い

「(自工会会長の)佐藤さんに『モーターサイクルショー』に来てもらった。販売台数で見ると二輪車は冷めていると思うが、ショーに来ると熱量を感じる。四輪とは違う雰囲気を感じてもらった。ただ、こうしたイベントはあるものの、文化として根付く欧州に比べるとユーザーの高齢化が進む。若者が少ない理由は、価格に加え、(スマートフォンなど)さまざまなコンテンツなど楽しみが増えているためだ。若い人が二輪車に関心を持つきっかけは、憧れの人が乗っていたり、格好いいと思うことだ。動画配信サイトなどを通じて二輪車の世界を知ってもらい、自工会は助け舟の役割を果たす。情報サイト『モトインフォ』での情報発信や安全普及活動を継続して実施している」

―毎年「バイクの日」を開催している

「昨年は実施時間を午後8時までとしたことで、仕事などから帰宅する人も楽しめるようにしたことが良かった。秋葉原というロケーションもよく、偶然イベントを知ることもできる。(秋葉原は)若い人も多く地の利がある。今回も同じ場所と時間で開催する」

―二輪車も電動化の取り組みが必要だ

「カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)は電動化が主軸になっているが、『マルチパスウェイ(全方位)』で(四輪、二輪など)それぞれの最適解を持つことが重要だ。E20(バイオエタノール20%混合ガソリン)はブラジルやインドなど二輪車の方が進んでおり、四輪でも使える学びはある。水素は大型のインフラが一番有効だ。ステーションが増えると二輪車も使える。水素は二輪車の場合は車体サイズが限られているので、カセット式の水素ボンベを活用する。この安全基準や共通のタンクの仕様をつくらなければならず、(国内二輪車メーカーなどで構成する)HySE(ハイス、水素小型モビリティ・エンジン研究組合)が全体を仕切って取り組んでいる。電動化は充電インフラと利用環境の整備が重要だ。ここは共通基盤としてやるべき部分で、四輪車と二輪車で共通の充電ステーションにしないといけない。四輪車用設備の方が高い充電能力が必要である一方、二輪車はコンパクトで迅速に充電できる設備だと別インフラを考えてしまう。技術的なブレークスルーをしなければいけない」

―2025年4月から原付一種の新たな区分が導入された。課題は

「誤った認知はされていない。店頭のプライスカードでの案内や免許センターでのポスター掲示、モトインフォの情報発信など、自工会が徹底して取り組んでくれた。ただ、新基準原付はサイズが大きくなったので駐輪場の課題はある。東京23区でも(対応している駐輪場に)差がある。今、一生懸命説明している段階だ。また、新基準原付のラインアップを持つメーカーもすべてではなく、選択肢がそろっていない。保有台数1000万台のうち400万台が原付一種で、新基準の普及とともにラインアップも広がるだろう」

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 8月17日掲載