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2026年7月16日

〈永田町視座 議員に聞く〉西村康稔衆院議員(自民党・自動車議連会長) 自動運転、米中とも技術的に遜色なし

 4月に自由民主党・自動車議員連盟の会長に就いた。過去には経済産業相も務め、自動車業界との関係性は深い。自動運転領域では米国や中国が先行すると言われているが、日本も「技術的には決して遜色はない」と見ており、政府として財政支援を含めた後押しが必要とした。党税制調査会のインナー(幹部)として臨む年末の車体課税の改正議論は「公平かつマルチパスウェイに沿った税体系にしていく」と話す。

 -中東情勢の影響や中国企業の台頭、電気自動車(EV)市場の変調など自動車産業を取り巻く状況は混迷を極める。市場動向をどう見ているか

 「まさに『100年に1度の大変革』が起こり始めている。ただ、この変革の道のりは一直線ではない。莫大なEV投資を行った米国・欧州企業の中には赤字に陥っている企業もあるほか、日本企業でもEV戦略の見直しを迫られている。一方、中東情勢の悪化でガソリン価格が高騰していることを受け、EVも引き合いが強まっている側面もある。例えばアジアでは、中国が大量のEVを過剰生産し、輸出していることでEVが急速に普及しつつある。6年ほど前はアジアにおけるEVシェアは1~2%ほどだったが、足元では約18%まで伸長し、存在感を高めている」

 -EV市場における日本企業の状況をどう見るか

 「日本企業はハイブリッド車(HV)で強みを持つ。水素、燃料電池車(FCV)を含むマルチパスウェイに重きを置き、多様な道筋の中で日本が世界をリードしていく方法を考えるべきだ。またEVでは、全固体電池の実用化に向けた動きも着々と進んでいる。トヨタ自動車のEV『bZ4X』も引き合いが強いと聞いている。自動車議連の会長としては、EVでも世界に勝てるよう支援をしていきたい」

 -国家戦略である「日本成長戦略」では、自動運転領域を「世界をリードする戦略的投資領域として重要」と位置付けた。自動運転開発では米・中が先行する。動向をどう見ているか

 「2016年頃に米テスラの自動運転車に乗る機会があった。その時は車両の挙動が不安定で、乗車中、危うく感じることが間々あった。それから10年が経過し、今年5月にもう一度、テスラ車に乗車したのだが、加減速が非常にスムーズで、技術的にも大きく進化している印象を受けた。自動運転技術では『日本は遅れている』と言われているが、それは日本メーカーが安全性を重視しているからであって、技術的には決して遜色はない。実際に最近、自動運転『レベル2++』に匹敵する技術を搭載した日本車にも乗ったのだが、安心して乗車できた。日本企業の良さを大切にして、『急がば回れ』で取り組むべきだ」

 -政府はレベル2++の認定制度を年内にも設立する。購入補助金なども検討しているが、考えは

 「補助金は、どれくらいのコストになるかを踏まえ考えていく必要がある。税全体の見直しも進んでおり、税と予算をうまく組み合わせながら進めていく。(補助事業を行うなら)日本車だけでなく、輸入車も対象になる。来年は自動運転領域の節目の年になるだろう」

 -自民党税調のインナーの一人でもある。年末の改正議論ではEVへの課税の在り方が議論の焦点になりそうだが、車体課税の税体系はどうあるべきと考えるか

 「まず、自動車戦略全体に沿った形にしないといけない。また、(車体課税は)もともと、道路財源としても考えられているため、道路への負担含めインフラ整備の在り方を考えるとともに、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)実現につながる税体系にすることも必要だ。公平かつマルチパスウェイに沿った税体系にしていく。各社の戦略も踏まえ、特定の企業に有利にならないようにバランスを見て考えていく必要もある」

 -昨年の改正議論では「環境性能割」「ガソリン暫定税率」の廃止が決まった。減収分の代替財源に関する議論の在り方は

 「クルマ(車体・燃料課税)の中でできることと、税全体を見て決めるべきことがある。防衛費の負担や社会保険料、消費税の引き下げなども議論が進んでいる。人口が減っていく中で、地方の税収についても考えなければならない。税収中立の考え方も、単年度ではなく、長い目で見る必要がある。クルマはクルマの中で完結させたいのはもちろんあるが、こういった状況を踏まえ、財源も含めて考える必要がある」

 -経産相を務めるなど自動車産業との関係性は深い。印象深かった出来事などは。また、自動車産業にメッセージを

 「トヨタのギル・プラット氏とは、経産相時代から交流を持たせてもらっている。フィジカルAI(人工知能)など興味深い話を聞くことも多く、とても刺激になっている。また、以前訪問した『ジャパンモビリティショー』では、スズキの鈴木俊宏社長から、牛ふんから生成したバイオガスでクルマを走らせる構想を聞く機会があった。とてもユニークな取り組みで、応援したいなと思ったのだが、実った(事業化した)と聞き、大変うれしかった」

 「投資や人口などのボリュームでは、日本は米中にどうしても劣る。ただ、技術では決して引けを取らない。経済安全保障なども念頭に置き、これからも日本の自動車産業には世界をリードしていってほしい。われわれも精いっぱい、支援していく」

 〈プロフィル〉にしむら・やすとし 東京大学法学部卒業後、1985年に通商産業省(現経産省)入省。99年に退官し、2003年に衆院議員初当選。内閣官房副長官や経済再生担当相などを歴任し、22年に経産相。26年2月より選挙対策委員長(現任)。4月より自動車議連会長。1962年10月生まれ、63歳。兵庫県出身。

 (聞き手=村田 浩子、堀 友香)

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月16日掲載