2026年6月19日
中古車の中東向け輸出、ホルムズ海峡開放でも課題山積 正常化には数カ月必要か 対応急ぐ輸出事業者
米国とイランが戦闘終結に向けて動き出したことで、中東向けの輸出再開を見据えた中古車の輸出事業者が対応に追われている。事実上の封鎖状態にあったホルムズ海峡が開放されれば、日本から向かう中古車が多かったアラブ首長国連邦(UAE)への航路も再開される見通し。ただ、近隣の港湾を含め海上輸送の混乱はいまだ続いており、バイヤーも疲弊している。このため、正常化には数カ月かかる可能性が高く、各事業者は現地との調整や情報収集を急いでいる。
日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA)の佐藤博理事長は、「中東情勢が落ち着き、ドバイに船舶が行けるようになることが一番だ」と語る。UAEへの輸出台数(車両価格20万円以上)は2025年度、前年度比0.4%増の22万7663台。中東情勢のあおりを受け、26年3月は前年同月から9割以上も落とす中で、辛うじて首位をキープした形だ。4月の落ち込みも同様で、ダメージを受けた事業者は少なくない。解決への道筋が見えてきたことに、胸をなで下ろしている。
ただ、佐藤理事長は「従来のように船が行き来できるようになるのは、2、3カ月要するだろう」と見立てている。中東諸国との重要な航路になっているホルムズ海峡の周辺には、今も多数の船舶が滞留している。まずはこれらの移動が優先になるとみられるためだ。
加えて、有事の前に出荷した車両を巡って混乱が起きている。有事が発生してから、ドバイをはじめ、周辺のさまざまな港に中古車を一時的に降ろしたケースも少なくない。これらによって一部の港湾は受け入れ能力を超え、混乱が起きているという。ある業界関係者は、「各港のオーバーフローが収まらなければ、新たな車両を送れない」と指摘する。
UAEのバイヤーの購買力にも懸念が生じている。取引の一時的な停止や車両の保管費が増えたことで、負担が重くなっている。船会社から高リスクを織り込んだ輸送費の追加料金を請求された事業者もいるという。国内のある事業者も「バイヤーが疲弊しているのは理解しているが、われわれもコストの増加分を彼らに転嫁していかなければならない」としている。買い手の体力が戻らなければ、日本の中古車を求める動きが鈍る恐れもある。
また、現地の中古車需要が変化する可能性もある。中古車輸出に詳しい自動車流通市場研究所の中尾聡理事長は「1000万円超の上級車の需要が落ちる」と見立てている。これまでは「オイルマネーが支えていたが、そういった顧客からの注文が減るのではないか」というのが一因だ。加えて、米国とイランの衝突の余波は周辺国にも及んでおり、景気悪化で車種構成や取引額にも影響が出そうだ。
米国とイランは戦闘終結に向けた覚書を締結したが、最終合意に至るまでには予断を許さない状況が続く。中東向けの中古車輸出を取り巻く環境が正常化するにはまだ課題が山積しており、ある輸出関連企業の役員は「元に戻るのは秋以降ではないか」と分析している。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞6月19日掲載











