2026年5月26日
国交省、車体整備の「指数」調査結果 6月にも公表 自研指数引き上げの可能性も
国土交通省が、事故車の修理価格を決める際に用いる指標の一つ「標準作業時間」(指数)に関する調査報告書を6月にも公表する。現在は、損害保険各社が出資する自研センター(上田修司社長、千葉県市川市)が作成した、いわゆる「自研指数」が広く使われている。ただ「修理作業の実態を反映していない」との声も少なくない。国交省は調査結果次第では、指数の改定を自研センターに働きかける意向だ。指数の改定は、修理価格の引き上げに直結する。車体整備事業者の賃上げや職場環境の改善など業界課題の是正につながるだけに、6月の調査結果に高い関心が集まっている。
国交省による標準作業時間の実態調査は、2025年度の「自動車整備業の人材確保・育成の推進事業」の一環として実施した。労務費転嫁率が低い自動車整備業において、特に車体整備業で課題となっている損保との価格交渉の適正化を進める狙いがある。ドイツの第三者認証機関であるテュフラインランドジャパン(岡本邦裕社長、横浜市港北区)に委託して調査した結果が4月にまとまり、現在進めている分析作業などを経た上で6月中にも公表する予定だ。
調査結果次第では、車体整備事業者と損保が行う修理価格の交渉で用いられる指数が見直される可能性がある。
指数は、事故車修理の標準的な作業時間を示す物差しで、指数に1時間当たりの工賃単価「指数対応単価」を掛け合わせて修理価格を算定する。車体整備事業者が自社の経営実態を反映させた作業時間を用いて修理価格を算定するケースは一定数あるものの、多くの事業者が自研センターのつくる自研指数を使用している。
指数を作る自研センター
自研指数を巡っては、以前から「この指数の時間では終わらない作業がある」といった声が国交省に数多く寄せられてきた。自研センターは標準的な作業条件や方法「基表(基表方式)」を利用して指数を定めているが、今回の調査結果によっては基表と修理現場の実態の乖離(かいり)が浮き彫りになる可能性がある。仮に、調査結果に基づいて国交省が自研センターに指数改定を働きかければ、修理価格の引き上げにつながる可能性が高い。
自研指数は、4月23日に行われた国土交通委員会でも取り上げられた。西田実仁参議院議員の質疑に対し、金子恭之国交相や石原大物流・自動車局長ら幹部が答弁した。
石原物流・自動車局長は、車体整備事業者から上がる声について「事業者からの声は国交省に数多く寄せられているが、実際の修理作業や条件はさまざまであることが大きな理由ではないかと推測している」と述べた。調査結果については「自研センターや車体整備業界と意見交換した上で公表し、自研センターに対して自研指数の改定に活用するように働きかけていく」と答弁した。
金子国交相も自研指数について「仮に短い作業時間で設定されている場合には、損害保険会社から車体整備事業者に適切な修理代金が支払われていないことになる」と懸念を示した。
現在、車体整備業界では、修理価格の算定で用いるもう一つの物差し「指数対応単価」の引き上げ交渉が進んでいる。日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)が損保各社と団体交渉している。消費者物価指数(CPI)に加え、人件費やエネルギーコストの上昇などを踏まえ、26年度は三井住友海上火災保険が全国平均で前年度比8.0%、あいおいニッセイ同和損害保険が同8.4%の引き上げを決めている。
車体整備の修理価格は、指数と指数対応単価を掛け合わせて算定する。このため、今後指数対応単価に加え、自研指数の見直しも進めば、修理価格は今まで以上に上昇することになる。政府が中小企業の賃上げを推進する中、車体整備業界でも賃上げや設備投資に向け、修理価格の引き上げへの機運が高まっている。
日刊自動車新聞5月25日掲載













