2026年5月8日
〈ニュース知ったかぶり〉自動運転の新しい国際基準ができるんだって? レベル4国際市場の早期立ち上げに期待
Q 自動運転技術の新たな国際基準ができるって聞いたけど
A 自動運転には区分があり、主要国が用いる区分は「レベル0」(自動運転なし)から「レベル5」(完全自動運転)まであります。この中で高速道路上の「レベル3(条件付き自動運転)」走行を想定した一部装置の国際基準はすでにあります。今回は、レベル4(特定条件下での完全自動運転)クラスの自動運転車が、一般道も含めて走行できる包括的な基準になる予定です。
Q そもそも自動車の国際基準ってどういうものなの?
A 国連傘下にある「自動車基準調和世界フォーラム(WP29)」という機関の加盟国が話し合って決める基準のことです。ちなみにWPは「ワーキングパーティー(作業部会)」の略で、WP29とは「29番目にできた作業部会」という意味です。WPはこの他にも交通法規に関するものや冷凍・冷蔵食品の輸送に関するものなどがあります。
WP29には灯火器、衝突安全、タイヤなどの専門分科会や委員会があり、交通事故の傾向や技術進化などを踏まえて国際基準をつくっています。
Q レベル4の国際基準はどのような内容なの?
A まだ正式には決まっていませんが、大筋合意された原案には、基本概念として、車のほか自転車や歩行者がいる交通環境下で「熟練かつ注意深い人間ドライバーと少なくとも同等な運転性能を求める」とあります。技術的な要件のほか、車両の認証試験の内容、危険時・故障時の対処方針なども原案には盛り込まれています。また、事故原因や製造物責任を明確化させるため、走行データの保存が義務付けられます。コネクテッド機能が前提のシステムも多いため、サイバーセキュリティーの面から厳しい保護要件や定期的なシステム更新が求められます。2026年6月にもWP29で採択され、周知期間を経て、発効する見通しです。
Q それで、自動運転の国際基準は各国で採用されるの?
A 少しややこしいのですが、WP29には2つの協定グループがあり、加盟国や基準の実効性に違いがあります。1つ目は、1958年にできた「国連の車両・装置等の型式認定相互承認協定」(1958年協定)です。この協定では、加盟国のうち1カ国で認証を受ければ、他国での認証手続きを省略できるメリットがあります。これを「相互認証」と言います。2つ目は「国連の車両等の世界技術規則協定」(1998年協定)です。これは相互認証ではなく、基準統一を目的とした協定で、1958年協定に参画していない米国や中国、インドなども入っています。日本や欧州連合(EU)などはどちらも参画しています。
1958年協定、1998年協定とも、どの装置基準を自国の関連法規に反映させるかは加盟国が決めます。ただし、1958年協定の場合、基準を国内法に反映させた後は相互認証が義務付けられます。自動運転では対応が早い日本政府は、WP29での合意を踏まえ、27年1月以降に国内法に反映させる見通しです。
Q 国際基準の効果は?
A 基準の採用は加盟国の任意とはいえ、自動車は国境をまたぐ国際商品です。自動車メーカーや大手の部品メーカーにとって、レベル4技術の足並みが国際的にそろうことは、輸出入の手間やコストが減るだけではなく、レベル4車両の国際市場が早く立ち上がる効果も期待できるでしょう。
日本政府は2030年代に自動運転車で世界シェア約25%、30年度までに国内で自動運転サービス用車両1万台の導入を目標としています。一足飛びにすべての車が自動運転になるわけではなく、さまざまな制度やルール、マナーを見直す必要がありますが、自動運転への期待は大きく、技術はこれからも進歩していくでしょう。
| 対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞5月8日掲載












