2026年4月27日
石油由来の原材料が値上げラッシュ 樹脂や合成ゴムなど 自動車産業へ影響甚大 収益力低下は避けられず
樹脂や合成ゴムなど、自動車部品に使用する原材料価格が急騰している。三井化学と出光興産の合弁会社プライムポリマー(後藤亨晴社長、東京都中央区)は、4月に大幅に値上げしたポリプロピレン(PP)の価格を5月にさらに引き上げ、日本ゼオンは5月からタイヤや自動車部品向け合成ゴムで大幅な値上げを実施する。中東情勢の悪化で、樹脂や合成ゴムの素原料であるナフサ(粗製ガソリン)価格が急上昇していることに連動する動きだ。これら原材料を調達する自動車・部品メーカーは、「値上げは受け入れざるを得ない」との考えだが、収益悪化につながることへの警戒感は強い。
自動車部品や内装材、タイヤなどに使用される樹脂や合成ゴム、合成繊維は、ナフサを熱分解して製造するエチレンなどの基礎化学品が原料となる。そのナフサの価格が、イランのホルムズ海峡封鎖に伴い高騰している。樹脂や合成ゴムなどの価格の基準となる国産ナフサ価格は、4~6月に中東情勢悪化以前の約2倍にまで高騰するとみられている。ナフサ価格の高騰で、化学メーカー各社は「自助努力で吸収するのは限界」として、樹脂や合成ゴムなどの価格を相次いで引き上げている。
プライムポリマーは、自動車のバンパーや内装材などに使用されるPPの価格を4月1日納入分から1キログラム当たり90円以上引き上げたのに続いて、5月1日納入分からさらに同30円以上引き上げる。三菱ケミカルは、自動車のテールランプやメーターカバーなどの材料に使われているPMMA(ポリメチルメタクリレート)と、その原料であるMMA(メチルメタクリレート)モノマー、塗料や接着剤に使用するMAA(メタクリル酸)を4月20日納入分から同70円以上値上げした。
日本ゼオンは5月1日納入分から、タイヤ用合成ゴムを最大同291円、自動車用ホースなどに使われる合成ゴムは最大同253円値上げする。旭化成も4月1日出荷分から、タイヤに使用するゴムを同160円以上引き上げた。等速ジョイントブーツやブレーキホースなどに使用するクロロプレンゴム(CR)は、レゾナックが5月1日納入分から、東ソーが同日出荷分から、それぞれ同80円以上値上げする。いずれの値上げ幅も、これまでに例のない大きさだ。
樹脂や合成ゴムに限らず、他の石油由来の原材料でも値上げは相次いでいる。また、東レは炭素繊維複合材料や繊維などを対象に、緊急措置としてサーチャージ(追加料金)的な価格を取引先と順次協議していく。
自動車メーカーや部品メーカーは、米国とイスラエルが2月28日にイラン攻撃を開始した当初、樹脂や合成ゴムなどの原材料不足を懸念していたが、その後の官民を挙げたナフサの調達で懸念は後退。足元では、大幅な価格上昇への不安が広がっている。
樹脂系の自動車部品メーカーの首脳は、「これまでは価格度外視で量を調達することを優先してきたが、ここまで原材料価格が上昇すると、製品価格に転嫁できるのか不安だ」と話し、収益悪化を不安視する声も目立つ。石油由来の原材料価格は、ナフサ価格などの指標に連動して決まるフォーミュラ制を採用している企業も多く、価格上昇を受け入れざるを得ない。問題は製品価格に転嫁できるかだ。部品メーカーは、取引先の自動車メーカーとエネルギー価格などのオペレーションコストや人件費の上昇分の価格転嫁を交渉しているだけに、「原材料価格の上昇分をどこまで受け入れてくれるのか」と不安を隠せない。自動車メーカーも、最終製品である自動車の価格に転嫁することによる消費の冷え込みを懸念する。
製品への価格転嫁が進まなければ自動車メーカー、部品メーカーの収益力の低下は避けられない。仮に中東情勢が安定しても、原油やナフサの流通が正常化するまで時間を要するとの見通しで、自動車産業は厳しい状況が続きそうだ。
| 対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 4月27日掲載












