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2026年4月8日

3月のEV販売、初の1万台超え CEV補助金が需要押し上げ トヨタはHV供給不足でbZ4Xが受け皿

2026年3月の乗用電気自動車(EV)の登録車と軽自動車の販売合計は、前年同月比2.1倍の1万2658台と大幅に増加した。単月で1万台の大台を突破したのは初めて。各社の新型車投入効果に加えて、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)が販売を押し上げた。けん引役となっているのがトヨタ自動車の「bZ4X」で、1月のCEV補助金増額で販売の勢いが増している。トヨタは、主力のハイブリッド車(HV)の多くが供給不足によって受注停止となっている。EV伸長の背景には、納期が短く補助金で買い得感が増しているbZ4Xへ顧客が流れていることもありそうだ。

日本自動車販売協会連合会(自販連、髙田靖久会長)の燃料別販売台数と全国軽自動車協会連合会(全軽自協、赤間俊一会長)の通称名別販売台数を基に日刊自動車新聞がまとめた。

 

自販連は15年、全軽自協は16年以降の統計で、26年3月のEVの合計台数が過去最大となった。乗用車市場のEV比率は3.1%と、前年同月から1.6ポイント上がり、初めて3%を超えた。25年度(25年4月~26年3月)のEV販売台数は前年度比26.7%増の7万2527台だった。

 

近年のEV市場は、日産自動車の軽自動車「サクラ」がけん引してきた。サクラは22年6月の発売からピーク時には月間4000台以上を販売したが、24年以降は需要が一服し、25年以降は1000台を切る月も増えてきた。

一方、直近は登録車の伸長が顕著だ。3月の販売台数は同2.8倍の1万1245台となった。トヨタは同42.7倍の3456台、日産自動車も新型「リーフ」の投入で同4.5倍の2629台と大きく伸ばした。

 

トヨタは25年10月に商品改良したbZ4Xが好調だ。航続距離を延ばしながらもエントリーモデルの価格は従来から70万円引き下げた。純正普通充電器の導入や新充電サービス「TEEMO(ティーモ)」開始もEV販売を下支えする。26年1月にはCEV補助金が従来の90万円から130万円に引き上げられ、販売の勢いはさらに増している。

 

トヨタの販売現場では、多くの車種が受注停止、もしくは長納期化していることが、図らずも「EVシフト」を加速している現実もある。ある販売会社首脳は「bZ4Xと『クラウン』兄弟ぐらいしか売るクルマがない」と話す。bZ4Xは補助金を使えば300万円台で購入可能となり、同クラスのSUV「RAV4」のHVモデルより約100万円安く購入できる。補助金が上乗せされる東京都内であればさらに買い得感が増す。

 

1月からのCEV補助金増額でEV販売に追い風が吹くが、評価基準が見直された4月以降の需要は不透明だ。経済安全保障推進法で認定された車載用電池の安定供給の取り組みなどが評価基準となり、メーカーによって明暗が分かれた。トヨタやホンダなどは高水準な補助金が維持される一方で、日産やスズキ、比亜迪(BYD)などの補助額は下がった。特に前のめりな商品と店舗拡大攻勢で存在感を高めてきたBYDは補助額が大幅に減額され、EV販売の影響は避けられない。

 

トヨタとテスラは、それぞれ主力モデルの派生車種を追加するなどEVのラインアップを拡充している。また、テスラは充電器の無料利用キャンペーンを開始し、国内市場で攻勢をかける。補助金と選択肢の拡大でEV普及の機運が高まるが、メーカーごとに補助額の明暗が分かれる中で国内のEV市場が持続的に成長できるかは不透明だ。

日刊自動車新聞4月8日掲載