2026年4月6日
中東情勢が車体整備にも波及 シンナー不足で仕入れコスト上昇 75%値上げも 欠品で塗装できない懸念
中東情勢悪化の影響が車体整備の現場にも広がっている。ナフサ(粗製ガソリン)の調達難を背景に、これを原料とするシンナーや塗料の値上げが相次いでいる。供給制限を実施する塗料メーカーも出ている。特に、塗装作業には溶剤系塗料の希釈や設備の洗浄などにシンナーは欠かせない。車体整備の業界団体や事業者は、修理費への価格転嫁への理解を求め始めた。それ以上に懸念されるのは在庫が欠品し、塗装作業自体が行えなくなることで、当面は綱渡りの状況が続きそうだ。

車体整備事業は、溶剤系塗料の希釈や塗装設備などの
洗浄に多量のシンナーを使用する

NTオートはホームページで顧客に価格転嫁への理解を求める
シンナーや塗料を取り巻く環境が厳しくなっていることを受け、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)は3月31日、ホームページ上で修理期間の長期化や修理費用の上昇への理解を顧客に求める案内文を公表した。
日産東京販売ホールディングス(NTH)傘下で、車体整備も手掛けるエヌティオートサービス(有松真一社長、東京都大田区)も同日、同様の案内文をホームページに掲載した。有松社長は「今はまだやりくりできているものの、今後は価格転嫁や長納期化を迫られる可能性も十分にある。少しでも早く顧客に伝える必要があると考えた」と話す。
ただ、やりくりができているという同社でも、代替調達などの対応に追われている。例えば、洗浄用のシンナーは主要取引先からの仕入れが滞ったため、高価な希釈用シンナーを代用している。従来使用している製品と比べると、2倍近い仕入れ額になるものもあるといい、収益を圧迫している。
車体整備において、中東情勢悪化の影響が顕在化し始めたのは、大手の日本ペイント(榎本朋夫社長、東京都品川区)がシンナーを75%値上げした3月中旬あたりからだ。同社を皮切りに、中堅・中小を含めて塗料メーカーが相次いで値上げや供給制限を実施。4月2日には、大手の関西ペイントが13日出荷分から50%以上値上げすると発表したことで、業界がより苦境に陥っていることを裏付ける。
こうした状況を受け、シンナーを使わない水性塗料に注目が集まっているが、じわじわと影響が広がっているもようだ。水性塗料の設備を導入済みの坪井鈑金(岐阜県大垣市)の坪井英倖社長は「当社が使用している塗料はまだ上がっていない」とするものの、「すでに(水性塗料を)2割ほど値上げしているメーカーもあり、時間の問題ではないか」と指摘する。加えて、もともと水性塗料はシンナーが必要な溶剤系よりもコストが高いことから、「顧客に価格転嫁の理解を求めるのは容易ではない」と頭を悩ませている。
また、品不足の解消が長引くことで心配されるのは、代替調達が機能しなくなるほど需給がひっ迫することだ。現時点でも「塗料販売店は発注段階では納期を示さないようになっている」(有松社長)ほか、買い占めを防ぐために「シンナーは昨年の取引量に応じた量しか仕入れられなくなっている」(坪井社長)という。
有松社長は「100種類近い原色を組み合わせて調色している」とし、「そのうち一部でも欠けると再現できない色が出てくる」と塗装の実情を明かす。仮に、需要が少ない色で欠品が広がったとしても、影響が全体に広がる可能性を危惧している。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞4月6日掲載











