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自動車産業インフォメーション

2026年3月23日

自工会の佐藤恒治会長、中東情勢に「感度高く対応」 部品材料の共通化など産業横断で対応

 日本自動車工業会(自工会)の佐藤恒治会長(トヨタ自動車社長)は都内で記者会見し、中東情勢を踏まえた地政学リスクについて、「感度高く対応していく必要がある」と述べた。中東情勢の悪化をめぐっては、ホルムズ海峡の事実上の封鎖に伴う物流の寸断が国内の自動車産業に深刻な影響を及ぼすとみられている。自工会は日本自動車部品工業会(部工会、茅本隆司会長)と協力して部品や素材の共通化に取り組むなど、産業横断で対応を進めていく方針だ。

 3月19日に会見を開いた。1月以降の佐藤会長体制に移行してから初の記者会見となった。新体制では、業界が直面している緊急かつ波及効果が大きい課題を7つ挙げている。佐藤会長は「各社の競争を軸にした産業の発展には限界がある。産業として協調すべき領域に取り組み、本来競争すべきところに経営資源を充てていく」と述べた。

  「新7つの課題」の一つで、現在取り組みを加速しているのが「重要資源・部品の安全保障」だ。サプライチェーン(供給網)については、半導体やレアアース(希土類)に加え、足元では中東情勢の悪化からナフサやアルミなどの材料調達の懸念が広がっている。

 国内のナフサとアルミの調達先は中東が7割を占め、依存度が高い。ホルムズ海峡の封鎖状態が長引けば「材料調達上の課題が出てくる」(佐藤会長)。各社は複数経路の調達に乗り出すが、佐藤会長は「この状態がどれくらい長引くかで対応が変わる」と話した。

 自工会では部品や素材共通化によるサプライチェーン強靭化にも取り組む方針だ。樹脂やゴムはメーカーや部品ごとに材料構成の細かな仕様が存在するが、こうした仕様を統一することで生産性の向上や調達の柔軟性を高めることが可能になる。ただ、これらの取り組みを進めるには開発段階から見直す必要があり、中長期的な対応となりそうだ。

 中東での事業への影響も避けられない。自工会によると、中東向けの輸出台数は約80万台、輸出額は約2兆5000億円にのぼる。トヨタは3月末までに中東向けの国内生産を約2万台減らすなど、すでに国内生産にも影響が出始めている。トヨタの場合、ホルムズ海峡を通らず南アフリカの喜望峰ルートに切り替えると輸送日数が50日から100日程度に延びるため、単純計算で輸送力は半分となる。佐藤会長は「各社は生産状況と物流のキャパシティーの調整を日々取り組んでいるところだ」と述べた。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞3月23日掲載