2026年3月9日
車載半導体で業界横断のデータ基盤 4月に運用開始 国内外メーカーなど連携 供給網の可視化へ
車載半導体の安定調達に向け、国内外の主要半導体メーカーと自動車業界が連携を進めている。その一環で、半導体の情報を共有し、供給網の可視化を図る取り組みが、4月から始まる。複数の関係者によると、半導体メーカーが製品仕様や生産開始時期、製造拠点などの情報を登録。自動車業界側は採用する半導体を検索し、供給の安定性を評価できる。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、機微な情報が他社に漏れない仕組みも整える見込み。業界全体でデータを持ち寄り、サプライチェーン(供給網)の実態をデータで捉え、不測の事態などリスクにいち早く対応できるようにする仕組みだ。
車載半導体を巡って、半導体各社が協力し、日本自動車工業会のワーキンググループ(WG)が中心になり、議論を進めている。今回の取り組みもその一環となる。

■情報の現状に課題
電動化や先進運転支援システム(ADAS)、自動運転の進展で、車1台に搭載される半導体の点数は数百以上に増加するとともに、果たす役割も重要になっている。パワー半導体や車載マイコン(マイクロコントローラー)などは、車の競争力の根幹にも関わるものになっている。
一方で、業界のピラミッド構造などから、半導体需給の全体像をつかむのは難しい。また、コロナ禍や災害、地政学上の問題など供給のリスクも顕在化。半導体不足で減産を強いられたり、ネクスペリアの出荷停止問題から影響を受けたりと、特定企業や地域への依存はリスクともなる。「自動車業界各社は、調達先を分散させたり在庫政策を見直したりしている」(半導体業界)が、個社の取り組みでは限界もある。自動車業界の半導体情報管理は、自社でエクセル管理したり、商社任せだったりさまざまなだけに、取引先の状況の把握やデータの更新など課題も多い。
■横串で
そこで、半導体業界が協力し、レイヤー(層)を横断するデータプラットフォームを設ける構想を、同WGなどが議論している。4月に運用を開始する見込みだ。
検討しているシステムでは、半導体メーカーが製品にまつわる基本情報(製品仕様や生産開始時期、製造拠点、ライフサイクル、代替品の有無など)をデータとして登録する。
自動車業界はそれを踏まえ、地政学リスクや災害などの際に、検索して事業継続性(BCP)につなげるなど、影響を最小限に抑える。
取り組みには、独インフィニオン・テクノロジーズをはじめとする海外勢や、ルネサスエレクトロニクスを含む国内勢など、半導体の内外主要メーカー約20社が名を連ねている。中国メーカーは参画していないが、日本の完成車各社が必要とする半導体の大半をカバーできる見通しだ。実務面は一般社団法人「自動車・蓄電池トレーサビリティ推進センター」が担う見込み。
半導体業界側にも「製品の新陳代謝を後押しするなどの利点がある」(大手)とみられる。また利用予定のある大手サプライヤーは「ネクスペリア問題では幸い、大きな影響は受けなかったが、調達リスクにいち早く対応できれば、競争力強化にもつながる」と期待する。
自動車業界では、系列や長期取引を軸にした供給網が生産を下支えしてきた。しかし世界の分断が進む中で、リスクも顕在化している。競争領域ではなく協調領域として、データなどの基盤を共有しながら、柔軟に供給網を再構築していく取り組みになりそうだ。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞 3月9日掲載











