2026年2月19日
〈2026春闘〉自動車メーカー、春闘スタート 関税下でも前年並み要求 価格転嫁で中小賃上げに波及
自動車メーカーの各労働組合は2月18日、2026年春季労使交渉(春闘)の要求を一斉に提出した。米国関税による業績悪化という逆風が吹くが、物価高が続く中で各労組は高水準な賃上げを要求する姿勢は崩さない。自動車産業の国際競争力を高めるために、賃金水準を引き上げて他業界への人材流出を防ぐ狙いもある。3月18日の集中回答日に向け、経営側が「人への投資」に対してどこまで踏み込んだ回答を示すか注目される。
自動車総連によると、主要メーカー12労組で平均賃上げ要求額を公表していないトヨタ自動車、日産自動車、スバルを除く各労組の賃金改善分(ベースアップに相当)の要求平均は前年並みの1万3280円だった。同日、都内で会見を開いた自動車総連の金子晃浩会長は「環境は厳しくなっている中で昨年とほぼ同等(の要求)となり、各労組が目指すべき取り組みの共有がなされた結果だ」と述べた。
自動車総連は賃金改善分の要求額を「1万2000円以上」とする方針を掲げている。具体的な要求額を示すのは2年連続で、中小と大手企業の賃金格差拡大を是正する狙いがある。
トランプ関税の逆風下で自動車メーカーの業績は低迷するが、各労組は前年並みの高水準な賃上げを要求した。トヨタ自動車労組は、物価上昇分を踏まえて資格や階級ごとに賃上げ要求額を設定し、ベアと定期昇給分を合わせた賃上げ総額の要求は最大で2万1580円とした。従業員に対する評価が標準を超えた場合の引き上げも求めた。
米国販売比率が高く関税影響が業績を直撃するマツダ労組は、総額で前年実績を1000円上回る1万9000円を要求した。日野自動車労組も前年実績を3000円上回る2万1000円を要求した。
関税影響や電気自動車(EV)関連の損失計上で四輪事業が赤字となっているホンダ労組の賃上げ総額は、要求ベースで昨年より1000円低い1万8500円とした。事業環境が厳しい中でも人材確保に向けた持続的な賃上げを求めた。
主力のインド市場で販売が好調なスズキは、要求ベースで前年と同額となる総額1万9000円の賃上げを要求した。前年の賃上げ実績は要求を上回る2万1600円だった。
一方、経営再建中の日産自動車は、賃上げ要求額について公表しなかった。日産は人員削減を含むリストラ策を進めている最中であり、賃上げ要求については「全組合員の最低限の生活水準を維持するための、賃金制度に基づく改定原資+特別配分」という表現にとどめた。
年間一時金については、足元の業績を踏まえて多くの労組が前年実績を下回る月数を要求した。
自動車産業はすそ野が広く、中小企業を多く抱えるのが特徴だ。自動車メーカーを頂点とした重層的なピラミッド構造において、中小企業の賃上げを実現するには価格転嫁を深いティア(階層)へと浸透させる必要がある。
自動車メーカーや大手サプライヤーは人材流出を防ぐための「人への投資」に注力する一方で、産業全体の競争力を高めていくための労務費も含めた価格転嫁に目配せする必要がある。日本自動車工業会(自工会)の佐藤恒治会長(トヨタ社長)は「『成長と分配の循環』を、適正取引を健全に行う中で実現していくことが大事だ」と述べる。

18日に都内で開いた自動車総連の会見

| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞2月19日掲載











