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2026年2月13日

国交省と自動車メーカー、IAAEで純正スキャンツールを紹介 整備難民解消へ

東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催中の「国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2026」では、国内自動車メーカー12社と国土交通省が共同で、純正のスキャンツール(外部故障診断機)を展示している。各社の純正機に関する情報を、一度に得られる機会は珍しい。車両技術の高度化で、汎用機では対応しにくい作業が増えると見込まれる。こうした中、国交省では専業工場でも、純正機の導入やレンタルしやすい環境の整備を進める方針で、IAAEへの出展もこの一環だ。

整備専業者の多くはさまざまなメーカーの車両を引き受けており、汎用機を使用しているのが一般的だ。大半の作業は対応できるものの、エーミング(機能調整)や電子制御装置(ECU)などの一部作業は、セキュリティーの問題で純正機が必要になる。ただ、すべてのメーカーの純正機をそろえるには、投資負担が重い。

例えば、今回のIAAEでトヨタ自動車が展示した純正機「GTS+」は、1年間のライセンス契約で約15万円の費用がかかる。このほか、数万円程度の車両通信インターフェース(VCI)を用意する必要がある。

一方、ある汎用機メーカーの製品は20万~30万円の初期費用で、年間数万円のライセンス料で全銘柄に対応できる。純正機にしかできないものもあるが、投資余力に限りがある一般の事業者にとっては現実的な選択肢となっている。実際、自動車メーカー各社は系列の部品会社などを通じて純正機を販売しているが、販売実績は多い銘柄でも累計で数十台程度にとどまっているもようだ。

純正機の普及が進んでいない理由は、コストの高さだけではない。国土交通省自動車整備課の久保巧課長補佐は、「専業者も純正機を購入できることが、実はあまり認知されていない」と指摘する。ただ、取引先によっては、特定の銘柄の車両を導入しているケースもあるほか、ディーラーの外注先となっているところもあるとみられ、「業態によっては採算が取れる専業もあるはず」とみている。

このため、今回のIAAEで、各社の純正機をアピールする場を設けた。

もっとも、大半の専業工場では、純正機購入の経済合理性を見いだしにくいのが実情だ。国交省もこうした実態を踏まえ、短期で純正機をレンタルできる仕組みの検討も進めている。

全国で9万2000カ所ある整備工場のうち、各メーカーの系列ディーラーは1万6000工場に過ぎない。車検整備の台数ベースでは65%を専業者が占めており、全国で走る車両の品質を担保していくにはディーラーだけでは難しい。現在は純正機が必要になった場合、ディーラーに車両を持ち込んで作業を依頼することが一般的だが、ディーラーも整備士不足で受け入れ能力にも限度がある。整備難民の発生を回避するため、専業工場の能力を最大限に生かすための仕組みづくりが求められている。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞2月13日掲載