2026年2月10日
〈衆院選2026〉自民圧勝でどうなる自動車税制 暫定税率廃止は少数与党だから? 求められる高市首相のリーダーシップ
第51回衆議院選挙の「自民圧勝」で自動車関連税制の先行きはどうなるか。業界やドライバーの関心事だが、明確に答えることは難しそうだ。なぜか。
日本の場合、毎年の税制改正は政府と与党の二本立てで進む。中でも自民党の税制調査会(税調)は、時の首相でさえ口を出せず「党高政低」と言われるほどの決定権を握っていた。もっとも、小泉純一郎氏や故・安倍晋三氏など、時として高い支持率やリーダーシップを持つ首相がいると「政高党低」へと決定権が移ることも。「政」と言ってもこの場合、政府(省庁)ではなく「官邸」を指す。
高市早苗首相も高い人気を持ち、「責任ある積極財政」をスローガンに、昨年は税の“ラスボス”と言われた宮沢洋一税調会長(財務省OB)を交代させた。自民の中堅議員は「これまでより小委員会や部会など“平場”の声を大事にしている印象だった」と税調での議論を振り返る。
高市政権はまた、衆参とも少数与党下の船出だった。自動車メーカーの渉外担当者は「昨年の環境性能割と暫定税率の廃止は、少数与党だから実現できたところが大きい」と分析する。
つまり、「政高党低」「少数与党」という2つのパワーバランスが昨年の自動車関連減税に道筋をつけた、というわけだ。
今回、自民は衆院で3分の2超の議席を得た。参院では少数与党だが、参院で否決された法案を衆院で再可決できるという意味で“自民一強”だ。「少数与党」というパワーバランスは崩れた。
衆院選で圧勝し、政権基盤を固めた高市首相
ただ、この圧勝は高市人気に支えられていることも疑いようがなく、「政高党低」は残った。今後の税制改正においても自民税調幹部というよりは、高市首相の意向が反映されるだろう。ただこの場合、官邸や内閣、党にいる側近がどのような情報を高市首相に入れるかにもよる。
もっとも、税制改正で高市首相が取り組むのはまず、衆院選で掲げた消費税率の引き下げだろう。2月8日夜には「国民会議で議論し、検討を加速する」とテレビ番組で語った。仮に食料品の消費税率を2年間ゼロにすると10兆円ほどの税収がなくなり、2年後に元に戻せるかどうかも定かではない。高市首相が自動車関連税制の見直しに理解を示したとしても、減税へのハードルが一段と高くなることになる。
「公平」「中立」「簡素」が税の3原則と言われるが、自動車関連税制に関する限り、自家用車ユーザーを中心に取れるところから取る「不公平」、国民の知らない間に制度が変わる「密室」、歳入と歳出が国と地方、自動車や石油などの業界にまたがる「複雑」と、3原則とはほど遠い。
それでも、「第2次高市内閣」で続投する公算の大きい片山さつき財務相は昨年の国会で「自国の基幹産業があってなんぼだ。財政当局といっても、角を矯(た)めて牛を殺してはいけない」と説き、自動車関連税制のあり方についても「環境負荷に応じて調整する時にどういう戦略をとるかは、わが国がどういう車を強みとし、どう勝ちにいくかという産業政策にリンクする。なかなか話をまとめるのが難しい」と自身の言葉で語った。
先行きを見通すのは難しいが、高度経済成長期につくられた今の自動車関連税制がもはや立ちゆかないことは明らかで、「パッチワーク的な対応は良くない」(自民の小林史明衆院議員)との声が自民党内にも広がりつつある。官僚やいち国会議員がいくら優秀でも、縦割りや前例、地元とのしがらみを断ち切ることは難しい。
自動車大国の名に恥じない税制づくりに、政権基盤を固めた高市首相のリーダーシップが求められる。
日刊自動車新聞2月10日掲載












