2025年12月1日
2025年度補正予算案、コロナ禍以降最大規模 CEV補助金や供給網強靱化 米関税対策など盛り込み
政府は、総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案をこのほど閣議決定した。一般会計の支出総額は18兆3034億円と、コロナ禍以降で最大規模だ。自動車分野では、乗用車・商用車の電動化を促す「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」のほか、中堅・中小企業などの賃上げ環境の整備やサプライチェーン(供給網)の強靭(きょうじん)化、日米関税合意に基づく投資への対応などを盛り込んだ。今臨時国会で早期の成立を目指す。

■CEV補助金算出方法も見直し―経済産業省
経済産業省は2兆7千億円を計上した。CEV補助金には1100億円を計上し、引き続き、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)などの購入費を補助する。ただし、日米関税合意を踏まえ補助金の算出方法などを見直す。充電・充填設備の補助では、充電器の高出力化などを踏まえた支援にするとともに、水素の充填設備では商用FCVの重点地域に選んだ6都県を集中支援する。
中堅・中小企業やスタートアップの賃上げを促すため、省力化などの成長投資を促す補助金事業に4121億円を計上した。このうち新規枠の2千億円は、企業の投資予見性を高めるため基金化する。
供給網の強靭化では、重要物資の生産技術開発や生産能力増強といった取り組みを支援する。従来から対象としてきた永久磁石に170億円、先端電子部品に12億円を積み増すほか、新たに無人航空機や人工衛星、ロケット部品の基金を設ける。
日米関税合意に基づく約80兆円の投資の実行に向け、民間金融機関の融資リスクをカバーする日本貿易保険(NEXI)に1千億円を出資し、財務基盤を強化する。
このほか、ガソリンスタンド(給油所)や油槽所などの災害対応力などを高める支援に160億円、旧暫定税率廃止の影響を受ける中小・小規模給油所が運転資金を金融機関から借り入れる際の利子補給などに30億円を計上した。
■米国関税措置受け輸入車の事故対策事業―国土交通省
国土交通省は、総額3兆557億円を計上した。日米関税交渉の中で、米国車の認証手続きの簡素化で合意したことを踏まえ、輸入車の事故対策事業として10億9500万円を計上した。自動車技術総合機構に左ハンドル車に対応した新しいドライビングシミュレーターを導入し、米国生産車の安全確保を図る。
バス・タクシー事業者の採用活動や二種免許の取得支援などを目的に64億5500万円を計上した。自動車事故の調査に必要な機材の整備なども支援する。
次期「総合物流施策大綱」を見据え、自動運転トラックの導入やラストマイル配送の維持・確保、荷主を含めた商慣行の見直しなどにも66億2600万円を計上した。また、物流事業者などに対する高速道路料金の大口・多頻度割引を27年3月末まで延長する予算として77億7900万円を確保した。
■再生材サプライチェーン構築へ―環境省
環境省は、4875億円を計上した。EVトラックなどの購入費用を補助する「商用車の電動化促進事業」で300億円を計上した。トラックの場合、標準的燃費水準車両との差額の3分の2程度を補助する。併せて廃車由来の再生材の安定供給に向け、再生材市場の調査費用などで5億円を求めた。破砕設備や分析装置を導入する事業者に対し、導入支援も行う。産官学連携を強め、再生材サプライチェ―ンの構築を急ぐ。
また、東南アジア諸国連合(ASEAN)における金属資源回収実態の調査事業費として1億円を計上した。EVの電池に用いるニッケルやコバルト、リチウムなどのレアメタル(希少金属)の産出国は、中国など特定の国に依存している。このため、ASEAN地域におけるEV電池のリサイクル、リユースの実態を調査し、将来的な事業の実現性などを探る考えだ。
| カテゴリー | 白書・意見書・刊行物 |
|---|---|
| 対象者 | 自動車業界 |
日刊自動車新聞12月1日掲載











