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2025年11月28日

資源エネルギー庁、28年度下期から沖縄でE10を先行導入 課題洗い出しへ

資源エネルギー庁は、バイオエタノールを最大10%混ぜたガソリン(E10)を先行導入する地域に沖縄本島を選んだ。2028年度上期にガソリンスタンド(給油所)の設備を改修し、同年度下期より先行導入する。30年度までにE10の本格供給を始める政府方針の実現へ向け、先行地域でE10燃料の課題を洗い出す。

 バイオエタノールはガソリンより揮発性が高く、水にも溶けやすいため、水分が混入し品質悪化を招かないよう適切な管理が必要だ。台風が多く、気温や湿度の高い沖縄で検証することで、円滑な全国展開につなげる。沖縄では過去にE3とE10の実証を行った実績があり、一部の設備を活用できることも加味した。

 バイオエタノールの導入に当たっては、現在はバイオエタノールを加工した添加剤(ETBE)をガソリンに混ぜて使用する方法が一般的だ。この方法だと製油所や給油所を改修せずに済むためだ。ただし、今回はガソリンに直接混ぜる方法を採る。ETBEが化石燃料由来であることや、製造量に限りがあることから、将来のバイオ燃料普及を見越して直接混合方式の品質や供給体制などを確認する。

 政府はまた、二酸化炭素(CO2)と水素から生成する合成燃料を30年前半に商用化する目標も掲げる。従来は再生可能エネルギー由来の合成燃料を視野に計画を進めてきたが、建設市況の高騰でパイロットプラントの建設コストなどが上振れしたこともあり、ENEOS(エネオス)の申し出でグリーンイノベーション基金(GI基金)での実証は中止された。

 今後は、より経済性が高いバイオマスを用いたバイオ系合成燃料も視野に入れ、30年前半の商用化を目指す。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月28日掲載