政府は「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」の算出方法を見直す。現在は燃料費などエンジン車と電動車のランニングコスト差を踏まえて上限額を算出しているが、新制度では車種ごとに定める「標準車両価格」に一定割合を掛ける方式に改める。日米関税交渉の過程で、燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)の補助額に大きな開きがあることを米側が問題視したことを踏まえ、補助額の差を縮小する方向で制度設計する。
現行のCEV補助金では、車種ごとの補助上限額がEV90万円、FCV255万円などとなっている。この枠内で、車両の環境性能に加え、充電網の充実度やアフターサービス体制、サイバーセキュリティーなど「企業の取り組み」も評価。「車両」「企業」合わせて200満点で評価し、補助額を決めている。今年度からは、環境負荷が低い鋼材(グリーンスチール)の導入計画に応じ、最大で5万円を加算する仕組みも加えた。
ただ、日米関税交渉で、補助対象となっているFCVの大半が日本車であることや、補助金で主に日本メーカーが恩恵を受けていること、補助額の算出方法が複雑なことなどに米国側が「非関税障壁だ」などと不満を示し、制度を見直すことで日米両政府が合意した。
こうした経緯を踏まえ、日本政府は補助上限額の算出方法を、車種ごとの標準車両価格に一定割合を掛ける方式に改める。詳細はこれから詰めるが、FCVとEVの補助額に大きな開きが出ないよう、米テスラなどを念頭に車両標準価格を決めるもようだ。また、車両価格に掛ける「一定割合」も全車種で共通とし、算出方法の明確化や簡易化も図っていく。
現在、米国側に新制度案を提示している。米国側や国内での調整を経て、できるだけ早期に新制度へ切り替えていく方針だ。












