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2025年11月13日

国交省、物流のラストマイル配送 貨客混載・バイオ燃料推進へ効率化や脱炭素化を提言

 国土交通省は、営業所などの物流拠点から最終配達先までの「ラストマイル配送」について、効率化や脱炭素化に向けた提言をまとめた。過疎地域以外でも「貨客混載」を認めたり、軽トラックを用いた輸送事業者における車両の共同使用、バイオディーゼル燃料の普及などに取り組む。人手不足と輸送の多頻度化が同時進行する中、物流網を維持する狙いがある。提言内容は、次期「総合物流施策大綱」に反映する考えだ。

 今年6月に設置した「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」での議論を踏まえ、提言としてまとめた。

 政府は、宅配便の再配達率を12%から6%に半減させる目標を掲げているが、足元では9.5%(大手3社平均)にとどまっている。物流サービスの負担軽減と健全な物流網を長期的に維持していくことを目標に対策を進める。

 貸し切りバスやタクシー、トラック事業者による過疎地域以外での貨客混載を進めていく。実施には「地域の物流網の維持の観点から荷主を代表する者」を含む協議が必要だが、地域によっては該当者が不明確で、協議を実施できない場合もある。このため、該当者を協議の対象に含まなくても実施できるよう検討する。

 また、個人事業主が多い軽トラック輸送事業者においては、冷蔵・冷凍車などの特殊な車両を共同使用できるよう制度を改める。車両の購入や維持費用の軽減を図ることで、ラストマイルの輸送力を保ちやすくする。

 車両の脱炭素化も進める。バイオ燃料の原料となる廃食用油の安定的な回収ルートの確立やバイオ燃料の地産地消を図るほか、電気自動車(EV)の配送車両に用いる電力の〝地産地消〟による運送コストの削減、災害時の活用などについて、国の支援策を含めて検討する。

 また、住宅地などでの配送を担う自動配送ロボットの普及に向け、安全性の検証や走行ルートの整理なども行う。私有地も含め、ラストマイル配送のユースケース創出を進めていく。

 このほか、マンションなどに設置した宅配ボックスの高機能化や過疎地域でのドローン(無人機)配送の活用などにも取り組む方針だ。


ラストマイル輸送の効率化、脱炭素化を目指す

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞11月13日掲載