2025年11月7日
スバルとマツダ、エンジン存続に「本気」 水平対向やロータリー 独自技術を強みに
電気自動車(EV)シフトが進む一方、エンジンにもこだわりを見せるのがスバルとマツダだ。水平対向型、ロータリー型という独自技術を磨いてきた両社は、エンジンを脱炭素化への手段の一つと位置付け、次世代型の開発を続行。ハイブリッド車(HV)用や、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)燃料を用いた純内燃機関として存続を目指す。

スバルの水平対向エンジンを使った「ストロングハイブリッド」システム
スバルの藤貫哲郎取締役専務執行役員CTO(最高技術責任者)は、水平対向エンジンの次世代型を開発していることをすでに公言している。現行の3機種を将来的に1機種へと統合する方針。電動デバイスとの組み合わせを念頭に入れるが、藤貫取締役専務は「個人的には純エンジンを残せないか、あがいてみたい」と語る。
マツダもEV、ディーゼル、ガソリン、ロータリーエンジン(RE)による「マルチソリューション戦略」を掲げる。エンジンは、エネルギー損失の極小化に向け、3段階で開発を進めている。2027年に実用化予定の「スカイアクティブ―Z」は〝ガソリンエンジンの最終段階〟との位置付けだ。梅下隆一取締役専務執行役員は「(ロードマップが)着実に完成に向かっている」と話す。
両社がエンジン開発を続ける背景には、HVがEVへの〝つなぎの技術〟から、市場の主力を担う存在へと位置付けが変わっていることがある。このため両社は技術資産を生かし、HV用でも独自のパワートレインを開発し、他社との差別化を図ろうとしている。電子プラットフォームなどの設計をEVと一部共通化させているのも、採算を改善させ、本気でエンジンを残そうとしていることの証(あかし)だ。
藤貫取締役専務は「世の中すべて直列4気筒になったら面白くない。水平対向は違う味があり、そこを削ってはいけない」と話す。水平対向特有の低重心やスムーズな回転などを電動車でも強みにしていく。マツダの梅下取締役専務は「燃焼を極めたらどんなことができるか。『未来はEVだけではない』というメッセージだ」と語る。
両社はソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)化もにらみ、エンジンでもソフト更新による機能拡張が可能な車両設計を採用していく方針だ。
| 対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞11月7日掲載












