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2025年10月24日

経団連モビリティ委員会、2年ぶり開催 半導体の安定調達など競争力強化策を議論

日本経済団体連合会(経団連)は22日、「モビリティ委員会」を都内で2年ぶりに開いた。「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」を控える中で幅広い産業が集まり、26年4月に向けての半導体のサプライチェーン(供給網)についてのデータプラットフォームづくりなど、モビリティ産業の競争力強化策を議論した。

同委員会は22年9月に発足した。当時は自工会の豊田章男会長、経団連の十倉雅和会長が委員長を務めた。現在は自工会の片山正則会長、日本自動車部品工業会(部工会)の茅本隆司会長、5月に経団連副会長に就いたトヨタ自動車の佐藤恒治社長を加えた3委員長による新体制に移行した。

 片山委員長は「この2年間で国際情勢や地政学的リスクの変動、人工知能(AI)をはじめとした技術革新といった環境変化が目まぐるしい勢いで起こっている」と語った。日本のモビリティ産業が世界をリードする存在となるために「全産業の総力を持って取り組んでいく」と呼び掛けた。

 今回のモビリティ委員会には、経済産業省の伊吹英明製造産業局長も出席した。茅本委員長は「自動車部品の米国関税問題はいったんの決着をみたが、税率引き上げのインパクトや国内生産台数の減少が懸念される。生産移管の余力のない中堅中小企業にとっては死活問題だ」と、国の継続的な支援を求めた。

 今回は、自工会が掲げる「7つの課題」のうち「半導体の安定調達」「日本の電池エコシステム構築」「カーボンニュートラル(CN)燃料の早期実装」の3つのテーマを挙げた。向こう2~3年で優先的に取り組むべき事項とし、自動車産業単独では対応が難しい課題を挙げ、モビリティ委員会に参画する企業・団体が協力し活動を進めていくことを確認した。

 半導体の安定調達では、車載向けに多く用いられる旧世代の国産レガシー半導体に焦点を当て、足並みをそろえて供給継続性が高い半導体へと切り替えていく。

 サーキュラーエコノミー(循環型経済)の一環となる電池エコシステム(生態系)の構築について、佐藤委員長は「概念としてはあるが、いざやろうとすると明確になっていないことが多い」と指摘し、まずは「リサイクルプロセス実証」「海外でのセカンドループ実証」「電池の価値〝見える化〟による国内還流促進の実証」に取り組む方針を示した。

 片山委員長は「前回(23年秋)のモビショーによってモビリティの概念は社会全体に広がっている」と話した。従来の東京モーターショーとは異なり、JMS2023はモビリティ委員会の枠組みによって幅広い企業や多くのスタートアップが参加した。

 今回は、前回(475社)を上回る500社超が出展する見通しだ。自動車の枠を超えた企業が新たな産業の形を模索する基盤はできつつある。このため、今回のモビリティ委員会では、より喫緊に対応が必要な課題を議論した。佐藤委員長は「業界をまたいで集まるこの場そのものが日本の競争力、経済安全保障上、大事な枠組みだ」と強調した。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月24日掲載