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2025年10月23日

課題山積の新政権、自動車産業への支援策は? 「ガソリン暫定税率廃止」「税制改正」

 高市早苗首相率いる新内閣には、燃料にかかる暫定税率の廃止や日米首脳会談、税制改正など重要政策が山積みだ。高市首相は21日の初閣議で経済対策づくりを指示しており、米関税で影響を受けている自動車向けの内容も注目される。維新との連立でもなお衆参両院で過半数に届かない状況下、高市内閣は発足直後から実行力が問われる。

 自動車関連の政策でも、最初の〝関門〟が物価高対策だ。自民と維新による連立政権の合意書では、年内に燃料の暫定税率(当分の間税率)法案を成立することが明記され、高市首相も会見で今国会に廃止法案を提出する方針を示した。ガソリン(1㍑当たり25.1円)のほか、同17.1円が上乗せされている軽油の暫定税率も2026年度から廃止する方針という。

 ただ、年間で約1兆5千億円もの税収減になり、代替財源議論は難航している。自治体を中心に暫定税率廃止に伴う安定財源を求める声は強い。維新は、自動車関連税制の増税分を充てることなどに理解を示しているが、自動車業界は代替財源を車体側に付け替えることには絶対反対の立場だ。

 高市首相は自民党総裁選の最中、自動車産業を支援するため、(軽)自動車税に上乗せされている環境性能割を2年間停止する方針も表明した。環境性能割は経済産業省や自動車業界が恒久的な廃止を求めている。しかし、環境性能割も地方税で、年間2千億円の代替財源論が浮上することは避けられない。

 日米首脳会談も注目される。関税交渉の結果、日本から米国に輸出される乗用車の関税は27.5%から15%に引き下げられた。ただ、自動車業界からは「以前の2.5%と比べると15%でも負担は大きい」との声が漏れる。

 新たな経済産業相は日米関税交渉を主導した赤澤亮正氏だ。トランプ政権は11月から米国に輸入される中・大型トラックと部品に25%の関税を課す方針を打ち出したが、赤澤経産相は22日「日米間の合意事項を着実に実施していく」と述べるにとどめた。今後、米国関税に関しては赤澤経産相、茂木敏充外務相、城内実経済財政担当相の3人が担当していくことになる。

 日米関税交渉では、米国製自動車の日本への輸入を促進するため、米国の安全基準を満たした米国製車両は追加試験なしで日本の公道を走れるようにすることでも合意した。

 高市内閣で国土交通相に就いたのは金子恭之氏。国交相ポストは長年、自民党と連立を組んできた公明党の指定席だったが、16年ぶりに自民党議員が返り咲いた。金子国交相はITS(高度道路交通システム)推進・道路調査会の会長を務めるなど国土交通行政に明るい。輸入車認証制度の見直しと安全なクルマ社会を両立できるかが、まずは注目される。


出典:首相官邸HP

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月23日掲載