2025年10月15日
日車協連、法令順守の自主点検チェックシートを改定 組合外への販売も開始
日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連、小倉龍一会長)は、車体整備事業者が関連法令・法規などの順守状況を自主点検するための「コンプライアンス・チェックシート」を改定した。従来は組合員向けのものとしていたが、今回から自動車関連の事業者にも販売する。チェックシートを活用して改善計画の策定や取り組みの徹底など、コンプライアンス(法令順守)の推進・強化に役立ててもらいたい考え。一部の事業者による不適切事案などで影響を受けた車体整備業界の信頼回復につなげる。
日車協連は2022年度に同チェックシートを独自に作成。組合員が業務の透明性を確保し、法令順守や不正防止を徹底するための「車体整備事業者のマニュアル」(小倉会長)を目指した。自動車車体整備士を対象とした講習などにも活用しており、改定は今回で3度目となる。
シートは、国土交通省の認証制度や日車協連の独自認定制度に必要な基準や要件、関係法令・法規の適否を車体整備事業者自らが従業員とともに確認できるものとしている。各適否項目には根拠となる法令・法規を記載している。
内容は3章で構成。1章は認証・未認証を問わず道路運送車両法全般に関するもの、自動車特定整備事業や日車協連独自の優良認定制度などに関する点検項目を設けた。2章では、労働基準法、労働安全衛生法、個人情報保護法、電子帳簿保存法、消費税法(適格請求書等保存方式/インボイス制度)など、15項目の関連法令・法規に対する適否を確認できるようにした。3章は、事故車修理における損害保険会社とユーザーに対する取引上で必要な確認項目を記載した。
日車協はこれまで、コンプライアンス・チェックシートの活用を組合員に限定していた。ただ、近年は車体整備業界で、法令順守体制が社会から問われていることから、非組合員も活用できるようにした。価格は1650円(消費税込み)。
車体整備をめぐっては、旧ビッグモーターによる一連の不正問題などを受けて同様の事案の再発防止が求められている。そのため、車体整備事業者が整備内容などユーザーへの必要な情報提供や損保会社との事故車修理の価格交渉を行っていくために、透明性を確保し、妥当かつ適切な検証体制を整えることが重要となっている。
国交省は24年3月に「車体整備の消費者に対する透明性確保に向けたガイドライン」を公表。「健全な車体整備サービスを求めている究極的な主体は、車体整備サービスの利益を享受することになる消費者(自動車ユーザー)である」と指摘した上で、車体整備事業者で実施することが求められる取り組みなどを示した。
日車協連は、日本損害保険協会(損保協、舩曵真一郎会長=三井住友海上火災保険社長)とともに、国交省のガイドラインを踏まえた取り組みを推進する共同宣言を今年6月に発表。業界を挙げて法令順守の徹底と体制強化に取り組む姿勢を改めて表明した。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 10月15日掲載