経済産業省は「ペロブスカイト太陽電池」をはじめとする「フレキシブル型太陽電池」について、安全性を踏まえた設置や施工のガイドラインを今年度中にもまとめる。まずは設置場所として需要の高い金属屋根などのガイドラインをつくり、来年度以降は、技術の進歩などに応じて設置場所を広げていく方針だ。

アイシンのペロブスカイト太陽電池

 ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池と比べ軽量で折り曲げることができ、少ない光でも発電できるなど、次世代の太陽電池として普及が期待されている。自動車業界でもトヨタ自動車グループのアイシンが開発を手掛けているほか、豊田合成や日本ガイシもスタートアップに出資するなどし、事業化の機会をうかがっている。

 政府は「エネルギー基本計画」で、2040年に約20㌐㍗分(設備容量ベース)のペロブスカイト太陽電池を導入する目標を掲げる。原子力発電所20基分に相当する。こうした動きに伴い、設置を検討する団体からは、一定の基準を求める声が上がっていた。シリコン系太陽電池は地上設置用をはじめ傾斜地用、壁面、営農型など複数のガイドラインが整っており、次世代型もこうしたガイドラインをつくることにした。

 このほど、自治体やメーカーの実務担当者らが参加する「次世代型太陽電池の導入拡大及び産業競争力強化に向けた実装加速連絡会」の初会合が開かれ、審議スケジュールなどを確認した。降雪や風圧などを踏まえた設計荷重や架台、感電や火災防止策などをガイドラインとしてまとめる。ノウハウが不足している部分は実証実験なども行い、有識者によるワーキンググループが年度内の策定を目指す。

 「グリーンイノベーション基金」で量産に向けた支援も急ぐ。昨年9月の積水化学工業に加え、今年9月には京都大学発スタートアップのエネコートテクノロジーズ(加藤尚哉代表取締役、京都府久御山町)、パナソニックホールディングス、リコーの3社を採択。支援対象も拡充し、フィルム型・ガラス型に加え、ペロブスカイトとシリコンを組み合わせた「タンデム型」の支援も決めている。