中古車市場で再び仕入れ難への懸念が強まってきた。2025年度上期(4~9月)の中古車登録・届け出台数は316万5471台(前年同期比1.6%増)。横ばいが続く中、中古車オークション(AA)相場の高騰で仕入れに苦戦する販売店が増えているようだ。仕入れが小売りを左右する状況で、資金力に乏しい中小・小規模(零細)事業者には逆風が吹く。
日本自動車販売協会連合会(加藤敏彦会長)と全国軽自動車協会連合会(赤間俊一会長)が10日、上期の中古車登録・届け出台数をそれぞれ発表した。登録車は同1.0%増の179万95台、軽自動車は同2.4%増の137万5376台。新車販売の回復で中古車販売も増加が期待されていたが、横ばいにとどまった。実売は統計の7割程度とされる。
北関東のある販売店は「需要は底堅いが、AA価格が高騰し、仕入れが難しくなっている」と頭を抱える。円安を追い風にした輸出事業者の活発な買い付けも相場を押し上げる一因になっている。
AA最大手、ユー・エス・エス(USS)の上期の平均成約単価は120万8千円(同0.8%減)と、わずかに下がったものの、過去最高だった24年度上期の121万7千円に迫る。トヨタユーゼック(北口武志社長、千葉市美浜区)が運営するトヨタ・オート・オークション(TAA)の上期の落札価格は79万2千円(同1.8%増)と過去最高だった。
特に「5年落ち」を中心に高年式車の確保が難しい。一般に新車への買い替えは車検に伴う場合が多い。乗用車の場合は購入から3年目、その後は2年ごとだ。このため、5年前や7年前の新車販売が落ち込むと中古車の発生も減る傾向にある。
20年度上期はコロナ禍で新車販売が前年比2割の大幅減だった。ただでさえ激しい仕入れ競争の中、5年落ちの中古車が例年よりも少ないことが、争奪戦に拍車をかけている。
帝国データバンクによると、25年1~5月の中古車販売店の倒産(負債1千万以上の法的整理)は50件と、前年同期(32件)の1.5倍だ。同社は「資金力の乏しい業者は人気車種の仕入れが困難になり、売り上げの減少や利益率の低下などによる資金繰りの悪化で倒産に至るケースが増えている」と分析する。このままいけば、年間で13年ぶりに倒産が100件を超える可能性もあるという。