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2025年10月8日

〈岐路に立つ自動車税制〉総務省、EV・FCVの自動車税案「重量に応じて」 自動車業界と経産省は反発

 総務省は電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)の自動車税(種別割)について、重量に応じた課税をするべきとの案を示した。「自動車関係税制のあり方に関する検討会」(座長=小西砂千夫地財審会長)で6日に提示した。11月にも取りまとめる報告書に意見を盛り込み、与党税制改正大綱に反映することを目指す。経産省などは反発している。

 自動車税(種別割)は保有にかかる税で、毎年徴収される。課税額は、排気量に応じて年2万5千~11万円。排気量がないEVとFCVの課税額は、最低税額である年2万5千円だ。

 重量の大きいEVやFCVが道路に負荷をかけても、応分の負担をしているとは言い難い、と総務省はみる。高額なEVが増加していることも問題視する。ファミリーカーより高額なEVの方が、税額が安くなるためだ。6日の検討会では、同案への目立った異論は出なかったという。

 なお、EV・FCVの重量ベース課税案はあくまでも地方税に限った議論で、国税である自動車重量税の議論は別、としている。

 総務省案に対して経済産業省幹部は「われわれの案が変わることはない」としている。引き続き、自動車関連税制全体の抜本的な見直しを求めていく明らかにした。

 経産省は、パワートレインを問わず保有時の課税基準を重量ベースに一本化し、環境性能に応じて増減する新たな枠組みを提案している。

 現行は排気量をベースにした自動車税・軽自動車税と、重量をベースにした車両重量税の二本が保有時にかかる。見直しで簡素化とユーザー負担を減らして需要を喚起する狙いがある。

 日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)は経産省と同じスタンスだ。保有時の自動車税・軽自動車税と自動車重量税の一本化を求める。総務省が電気自動車(EV)などの自動車税の課税基準を車両重量とする案を示したことについて、自工会関係者は「重量を根拠にすることは分かりやすい」と理解を示す一方で、自動車重量税と課税基準が重複する点を問題視する。「保有時の税金がより複雑化する。ユーザーの理解を得づらい」と懸念を示した。

 自動車関連税制は「取得」「保有」「走行」の段階ごとに9種類に及び、国税と地方税が混在している。与党の2025年度の税制改正大綱では①取得時の負担軽減等、課税のあり方を見直す②保有時の公平・中立・簡素な税負担のあり方等を検討する―とした上で「26年度税制改正で結論を得る」とされた。今後は、年末の税制改正大綱の取りまとめに向けて各省や自動車業界の攻防が本格化する。

EVは電池で重量が大幅に重くなる(イメージ)

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 10月8日掲載