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2025年10月7日

2025年9月の外国メーカー車でEV比率が15%超え 値下げ効果が台数に

 9月の外国メーカー車販売に占める電気自動車(EV)の販売比率が、すべての月を通じて初めて15%を超えた。インポーター各社によるラインアップ拡充で販売比率は上昇傾向にあったが、新興のEVメーカーが値下げなどの販売促進策を相次いで打ち出したことで9月の販売台数が伸びたとみられる。もっとも、新興各社の施策は、期間限定のものだ。需要の先食いによる反動減が、今後起きる可能性がある。

 日本自動車輸入組合(JAIA、ゲルティンガー剛理事長)が6日に発表した外国メーカー車の新規登録台数によると、9月度の新規登録の輸入EVは、前年同月比47.9%増の4070台となり、11カ月連続で増加した。外国メーカー車の全体に占める構成比は15.5%に上昇し、8月に更新した従来の過去最高(14.7%)を上回った。

 乗用車で販売増が目立ったブランドが新興系だ。テスラは販売台数を開示していないが、大半をテスラが占める「その他」の販売台数が前年同月の約2.7倍の1471台に増加。比亜迪(BYD)は、約3.1倍の799台だった。いずれも9月として過去最高の台数だった。ヒョンデの販売も同82.8%増の106台に増えた。

 販売増に寄与したとみられるのが、事実上の値下げ戦略だ。BYDオートジャパン(東福寺厚樹社長、横浜市神奈川区)は、「BYD補助金」という名目で最大117万円を抑える販促施策を1カ月限定で実施。テスラも「価格調整」とし、在庫車を対象に価格を引き下げる施策を9月末まで実施したことが、追い風になったとみられる。

 足元の輸入EVの盛り上がりは、通期の実績にも効いてきている。同日、JAIAが公表した2025年度上期(4~9月)のEV販売台数は、前年同期比45.7%増の1万6625台で、上期として7年連続で増加した。外国メーカー車の登録台数に占める割合は、前年同期に比べて3.4ポイント増の13.8%だった。このままの勢いを維持すれば、前年度の実績(2万4868台)を大幅に上回る公算が大きい。JAIAのゲルティンガー理事長は定例会見で、輸入EVについて「年間3万台を超えると期待している」と述べている。

 ただ、10月以降も、好調なペースを保てるかは、不透明だ。テスラやBYDは、6日までに事実上の値下げによる販売促進策を終えている。9月の盛り上がりが、今後の需要の先食いの要素が強ければ、年度末にかけて輸入EVの販売にブレーキがかかる懸念もある。これを防ぐためにも、輸入車業界を挙げた市場活性化への取り組みが必要になりそうだ。

日刊自動車新聞10月7日掲載