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2025年10月3日

環境省、再生材料の広域リサイクルを促進 国が一括で手続き認定 事業者間連携を後押し

環境省は、再生材料の品質や供給量を確保するため、複数の都道府県にわたる広域的なリサイクル網の構築を促す認定制度を設ける。現行の廃棄物処理法では、自治体ごとに各種の許可を得る必要があり、自動車メーカーや部品メーカー、リサイクル業者などが再生材の供給・使用で協業する際に手続きが煩雑化するなどの問題があった。新制度では、こうした手続きに特例を設け、国が一括して認定するようにする。欧州規制などを背景に再生材使用の機運が高まる中、手続きの簡素化で事業者間の連携を後押しし、スケールメリットが出せるようにする。


自動車破砕残さ(ASR)由来の再プラ


リサイクル事業の高度化のイメージ(環境省資料より)

2024年5月に成立した「再資源化事業等高度化法」に基づき、新たな認定制度などを含めた関連政令・省令を交付する。このほど意見募集(パブリックコメント)を開始し、11月21日の全体施行を目指す。認定のパターンは①事業形態の高度化②分離・回収技術の高度化③再資源化工程の高度化―の3つを想定する。事業者の広域的な連携は①にあたる。

 ①では、ペットボトルや自動車部品の水平リサイクルをはじめとする広域的な分別収集や再資源化事業を認定する。②では、特定の廃棄物を指定した上で、より高度な技術を用いて再生材を回収する事業を認定する。廃棄物の種類は太陽電池、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池などを想定し、社会動向を踏まえて追加も検討する。③では、人工知能(AI)の活用など、脱炭素につながる高効率な設備導入を促す。

 再資源化事業等高度化法では、リサイクル設備などの導入費用の一部を特別償却できる税制上の優遇策なども設けている。欧州では今後、新車の生産に一定程度の使用済み車(ELV)由来の再生プラスチックの使用が義務付けられる見通し。こうした複数の施策により、広域での連携や高度な設備の導入を促し、再生材のサプライチェーン(供給網)を確立する。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞10月3日掲載