2025年10月2日
自工会と部工会、車載向け半導体の供給強靱化で連携 ガイドライン策定
日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)と日本自動車部品工業会(部工会、茅本隆司会長)は、車載半導体の安定調達に向けて連携して取り組むと1日までに発表した。自動車部品に多く搭載される旧世代のレガシー半導体を供給継続性が高い半導体に切り替えていき、調達の安定性を実現するガイドラインを策定した。レガシー半導体はコロナ禍や災害時にサプライチェーン(供給網)が寸断し、車両生産に大きく影響を及ぼした。車載半導体の「新陳代謝」を促すガイドラインによって、サプライチェーンの強靭化につなげる。
自工会のガイドラインでは、部品メーカーに発注する部品を搭載する車両の量産開始時期やモデルライフなどの情報を伝え、予期せぬ電子電装部品の生産終了(EOL)が発生しないよう半導体メーカーとの連携も図るよう定めた。
部工会においても、半導体の供給性を確認した上で電子電装部品の新規開発時には供給継続性の高い部品を選定するように求めた。既存の電子電装部品を流用する際は自動車メーカーに通知するという行動宣言もガイドラインに盛り込んだ。
今後は、自動車メーカー各社が業務システムの追加や変更などを進め、半導体の安定調達に必要なデータを一括管理する基盤を構築する。これにより半導体生産終了への準備や災害時の代替調達などの事業継続計画(BCP)対策を立てやすくする。
レガシー半導体は人工知能(AI)向けなどの先進半導体に比べて付加価値が低い一方で価格が安く、自動車や産業機器などの分野で幅広く利用されている。レガシー半導体は先進品のように生産増強の動きはほとんどなく、生産を終了するケースも出てきている。8月に生産を終了した日産自動車「GT―R」は環境規制の対応などに加えて、モデルライフの長期化に伴いレガシー半導体の確保ができなくなった点も生産打ち切りの要因の一つだった。
レガシー半導体は生産増強が見込めない(イメージ)
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞10月2日掲載