2025年10月2日
経産省、水素普及に3兆円 有力事業に価格差分を補助 国内の供給網構築へ
経済産業省は、製造時に二酸化炭素(CO2)排出量が少ない水素の普及に向け、3兆円規模の支援を行うと発表した。水素と化石原燃料との価格差を縮小することを目的に、将来的な競争力があると判断した国内事業に対し、水素供給開始後から15年間、価格差分を補助する。すでに豊田通商など27件の申請があった。申請内容を審査し、今年度から順次、認定していく。国内の水素サプライチェーン(供給網)構築につなげる。
2024年に成立した「水素社会推進法」に基づき、事業者の水素製造支援を行う。エネルギー安全保障の観点から、将来的な価格低減と競争力の維持が可能と見込んだ水素事業に対し、化石燃料との価格差を一部、補助する。また、水素の製造拠点を整備する支援事業も行う。支援規模は総額で3兆円を超える見込みだ。
価格差支援策に関しては、すでに募集を終了しており、計27件の申請を受け付けた。豊田通商や愛知製鋼などによる「グリーン水素」を用いた特殊鋼の製造事業や、レゾナックによる廃プラスチック由来の水素を原料とした低炭素アンモニアの製造事業などだ。今年度後半にかけて順次、審査を進め、認定していく。
カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の観点から、製造時にCO2を出さないグリーン水素の需要が高まっているが、既存の化石燃料や天然ガスなどと比較すると製造コストが割高だ。一方、将来的な再生可能エネルギーの普及を見据え、「すでに(水素の)権益獲得競争が各国で起こり始めている」(経産省)状況で、いち早く日本国内に水素供給網を構築する必要があると判断し、支援することにした。
国内の水素サプライチェーン構築を後押しする
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞10月2日掲載