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2025年9月30日

EV用eアクスルの世界市場、2035年には4兆1000億円 矢野経済予測

 矢野経済研究所(水越孝社長、東京都中野区)は、電気自動車(EV)用「eアクスル」の世界市場が2035年に4兆1千億円に達するとの予測を公表した。中国を中心に高出力機の需要が拡大し、市場全体では24年比で4割超伸びるとした。

EVの基幹部品であるeアクスル

 3~6月に「xEVおよびキーデバイス/コンポーネント世界市場」を調査し、結果をまとめた。EV用eアクスルの世界市場規模(出荷ベース)で30年に1620万基(24年比41.8%増)、35年には1920万基(同68.1%増)へと成長。出荷金額ベースでは30年に3兆6180億円(同24.6%増)、35年に4兆1335億円(同42.4%増)に達するという。

 市場成長をけん引するのが、最大出力150㌔㍗(約204馬力)超の高出力eアクスルだ。20年代後半以降、大型・高級EVなどでは「充電時間を短縮したい」というニーズを受け、中国市場を中心にシステム電圧が400㌾から800㌾にシフトすると見る。高電圧化でモーター性能を効率的に引き出せるようになることで、eアクスルも高出力化し、150㌔㍗超の構成比は数量ベースで24年の38.0%から35年には45.8%に達すると予測する。

 出力を抑えたeアクスルも順調に伸びる見通しだ。中国や欧州の都市部では、近距離移動向け小型EV向けに需要が増加し、31年以降、日本やアジア地域の都市部でも充電インフラの整備が進み、小型EV市場が形成されるとする。

 注目トピックに挙げたのが、モーター、減速機、インバーターに加え、さらなる機能を統合した「Xイン1」化だ。DC―DCコンバーターや車載充電器、電池管理システム(BMS)などを含む複数のコンポーネントを統合したXイン1eアクスルは、すでに中国メーカーの一部モデルで採用が進むほか、日本の自動車メーカーやサプライヤーも開発を加速している。ジヤトコが25年度後半から3イン1に加えて5イン1を本格展開するほか、アイシンとデンソーが共同出資するブルーイーネクサスも、最大9機能を統合した電動ユニットの開発完了に道筋をつけている。

 矢野経済は「各コンポーネントをつなぐ配線の簡略化、部品点数の削減によるシステムの小型・軽量化やコスト低減、自動車メーカーにおける開発工数や搭載スペースの削減といった複数のメリットがある」とした上で、今後は「コスト重視の量販モデルを中心にXイン1eアクスルの採用が徐々に広がっていく」と展望した。

日刊自動車新聞9月30日掲載