2025年9月29日
2025年8月のディーラー新車受注動向、商品改良でトヨタが伸長
日刊自動車新聞が販売会社を対象に実施している「受注動向調査」で、8月は前月と比べて新車の受注が「良い」と回答した企業が増えた。7月までは物価高や一部メーカーの供給制約の影響で、受注の鈍さを指摘する販社が多かった。もっとも、系列ごとのばらつきが大きく、トヨタ自動車系やスバル系で増加したとする会社が多かった一方、それ以外の系列では前年実績や計画値を下回ったという声が目立った。
総じて好調だったのはトヨタ系だ。「前年同月と比べて2割ほど増えた」(東日本のネッツ店)と、大幅に受注を増やした販社が少なくなかったようだ。7月までは受注枠の余剰がなかったモデルが多く、営業活動に制約があったとみられるが、8月は商品改良に伴う受注枠の追加で実績を伸ばした。
車種別ではミニバン「ノア/ヴォクシー」のほか、小型車の「ルーミー」「ライズ」なども好調だった。大半の販社が長らく受注を停止していた商用車「ハイエース」も改善したもようだ。
ただ、先行きについては「年間では計画を下回る見通し。そういった意味では今後の見通しは明るくない」(西日本のトヨタ店)と、慎重な販社が多い。「ハイエースなどで、受注を再開したがすぐに枠が埋まった」(西日本のネッツ店)といった声もあり、8月の動きは一時的なものと言えそうだ。
トヨタ系以外では、スバル系が「『フォレスター』などの新型車効果で前年を上回った」(東日本地区の販社)というところがあったものの、全体では少数派だった。「8月の受注は苦戦し、前年比で1割減の水準。『ムーヴ』に一服感がみられる」(西日本のダイハツ店)、「後半になって改善してきたが、8月の受注は良くなかった」(西日本のマツダ店)、「前年は上回っているが、計画は大幅に未達の状況だ」(東日本のホンダ店)と、想定通りに受注を得られていない販社が多かったようだ。
このほか、軽自動車の人気カテゴリーとなっているスーパーハイト系で、これまで1強だったホンダ「N―BOX(エヌボックス)」のシェアが競合モデルに分散し始めた傾向が出ている。ホンダ系では「相次ぐ値上げの影響などでエヌボックスの受注が鈍い」との声が聞かれるが、他系列では「『タント』は堅調。エヌボックスとの価格差が理由ではないか」(ダイハツ系)と分析しているところもある。日産自動車と三菱自動車の系列でも、全面改良車の受注活動を開始しており、9月以降の受注動向に注目が集まっている。
同調査は日刊自動車新聞が全国の販社に聞き取りし、回答結果をまとめた。
対象者 | 一般,自動車業界 |
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日刊自動車新聞 9月29日掲載