一般社団法人 日本自動車会議所

会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2025年9月11日

トヨタ・ホンダ・日産の2025年1~6月世界電動車販売、好調なHVが牽引 下期も新型車相次ぐ

 トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の2025年1~6月の世界電動車販売の合計は約320万台で、3社の世界販売の3分の1以上を占めた。北米を中心に好調なハイブリッド車(HV)の販売が全体をけん引している。電気自動車(EV)の海外販売も3社そろって前年を上回った。各社は下期も電動車を相次ぎ投入する予定だ。

 お膝元の日本でもHV販売が引き続き好調だ。トヨタは約47万台を売り、昨年上期から13.7%増加した。今年上期は「クラウンエステート」や「カローラクロス」の改良型などを発売している。

 ホンダはEVの国内販売が前年同期から約3500台増えた。昨秋に軽商用EV「N―VAN e:(エヌバンイー)」を投入したためで、都市部の法人客を中心に販売を伸ばした。日産は電動車の展開に力を入れるが、上期の国内販売の総数が前年同期比10.3%減と苦戦しており、電動車も伸び悩む。下期はハイブリッドシステム「eパワー」で駆動する主力SUV「エクストレイル」の改良型など、新型車を相次いで投入して巻き返す。

 北米市場でもHVの需要は引き続き根強い。トヨタは同37.7%増、ホンダは同54.6%増となった。一方、EVは2万7千台余りを売ったホンダに対し、トヨタは同2割減の約1万4千台と明暗が分かれた。各社は今後もHVが市場の中心になると想定するが、北米の場合、売れ行きが燃料価格に左右される側面もあり、収益面では〝トランプ関税〟にも対処する必要がある。ホンダの藤村英司取締役執行役常務は「(HVの)基幹部品は日本から運ぶ部分が大きい。電池やモーターをいかに現地化していくかがポイントになる」と話す。

 中国では、トヨタが同23.1%増だった一方、ホンダと日産は前年を下回る水準が続いている。日産は販売好調なEV「N7」に続きプラグインハイブリッド車(PHV)「N6」を発売予定で、減少に歯止めをかけたい考えだ。

 欧州ではプラグインハイブリッド車(PHV)が販売を伸ばした。トヨタは前年同期の倍となる約4万6千台を販売。SUVにPHVを設定するホンダも同46.4%増だった。この半面、EVではホンダが同84.7%減、日産も同29.2%減と振るわない。世界の自動車メーカーが追加関税に揺れる米国以外の市場のテコ入れに力を入れており、欧州でも販売競争が激化しそう。日本メーカーの戦略や商品力が問われる。

 国内EV市場の行方も注目される。トヨタの上半期の国内EV販売は500台に届かず、廉価な軽EVを扱う日産も同25.9%減と低迷した。下期はトヨタの「bZ4X」が一部改良を控えるほか、日産は新型「リーフ」、ホンダが軽EV「N―ONE e:(エヌワンイー)」を発売する。国内の燃費基準が強化される30年度が迫る中、HV以外の電動車を売りたい各社の施策も注目される。

EV販売の動向も注目される (トヨタの米国向けEV「bZ」)

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 9月11日掲載