2025年8月28日
国交省、CO2排出量取引の「排出枠」 貨物自動車も対象に
2026年度から二酸化炭素(CO2)排出量取引制度が本格的に始まるが、国土交通省は、運輸部門での各企業の排出枠を決める対象分野として、貨物自動車などにする方針を示した。各企業はこの枠を上限にCO2の排出を抑える必要があり、過不足分は市場で売買できる仕組み。貨物自動車のCO2排出量は日本全体の約7%を占めており、業界全体の排出量削減につなげていきたい考えだ。
今回採用されるのは「ベンチマーク方式」。業種ごとにCO2排出量の指標を定め、それに応じて各企業の排出枠を決めるものだ。
排出量取引制度ではCO2の直接排出量が年間10万㌧以上の企業を対象とし、CO2排出量と等量の排出枠の削減(償却)を求める。エネルギーの消費量が多い分野には、生産量当たりのCO2排出量(原単位)に指標を設け、企業ごとにその指標内でのCO2排出に抑えてもらう。
削減義務を達成できなかった企業には、削減不足に応じた負担金を課す。ベンチマークの設定が困難な業種に関しては、基準となる年度の排出量に一定の削減率を乗じ、段階的なCO2排出削減を求める「グランドファザリング方式」で割当量を決める。
現在、ベンチマーク方式の対象となる分野の選定に入っており、運輸部門では貨物自動車のほか、国内航空と内航海運も対象として検討している。これらの分野の指標は、「輸送の排出量÷活動量(輸送トン数×輸送距離)」の計算式で求める考えだ。ベンチマーク指標は、各業種においてCO2排出の削減量が上位企業の水準を見込む。今後、企業へのヒアリングを実施し、11月上旬にもベンチマーク指標案を取りまとめる。
23年7月に閣議決定された「GX推進戦略」に基づき、「排出量取引制度」と「化石燃料賦課金」の導入が決まった。25年5月成立の改正GX推進法で、一定規模以上のCO2排出を行う事業者を対象に排出量取引制度への参加義務化が決まった。
日刊自動車新聞8月28日掲載