一般社団法人 日本自動車会議所

会員向けクルマ
biz

INFORMATIONクルマの情報館

自動車産業インフォメーション

2025年8月7日

経産省、「中小M&A市場改革プラン」公表 休廃業や倒産増踏まえ

 経済産業省は、中小企業のM&A(企業の合併・買収)促進に向けた「中小M&A市場改革プラン」をこのほど公表した。後継者不在などで中小企業の休廃業や倒産が増えていることを踏まえ「M&Aの拡大を図っていく必要がある」と指摘した。経産省は今後、譲渡側企業の不安解消に向けたスキームの構築やM&A支援機関の質的な向上などに取り組む。

 4月に設置した「中小M&A市場の改革に向けた検討会」がまとめた。

 2024年に休廃業・解散した中小企業は、23年比で約2割増となる6万2965社だった。このうち黒字を確保していた中小企業は約5割に上り、人手不足や後継者難など業績以外の要因が企業の存続に影響している構図が浮かぶ。自動車業界でも、ティア(階層)3次以降の中小・小規模(零細)製造業や自動車整備業、中古車販売業などがこうした状況にある。

 このような背景もあり、中小のM&A件数自体は増加傾向にある。23年度は約6600件と12年度の約19倍となった。ただ近年は、譲り渡し側から資金を吸い取る一方、経営者保証が解除されず、負債を残したまま連絡を絶つなど仲介業者によるトラブルも多発している。

 このため同プランは「譲渡側」「譲受側」「仲介業者などのM&A市場」の3つの視点で施策を打ち出す方向性を示した。

 譲渡側では、雇用維持や経営者保証の解除など、M&Aに不安を感じている事業者が多いとし、成立後に契約違反が発生した場合、譲渡側が会社を買い戻せるスキームの新設を検討する。

 譲受側には、複数のM&Aを行えるよう支援し、事業シナジーを高められるようにする。M&Aを一回実施した企業よりも、複数回実施した企業の方が営業利益が約1・5倍多く、高い生産性を維持できているとし、M&Aを企業成長につなげられる環境を整える。

 また、仲介業者などM&Aアドバイザーには、適切な知識や倫理観を担保できるよう、資格制度の新設も検討する。小規模なM&A案件や個人による承継を行うファンドへの支援も強化し、より多くの企業がM&Aを選択肢に入れられるようにしていく考えだ。


中小・小規模(零細)企業のM&A件数は増えつつある(イメージ)

カテゴリー 会議・審議会・委員会
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月7日掲載