2025年8月7日
〈自技会 キッズエンジニア2025〉 自動車関連分野に興味を持って!4千人が参加 多彩なプログラムで技術者目指すきっかけに
自動車技術会(中畔邦雄会長)は1、2日、科学やものづくりに興味を持った子どもが将来の日本を支える技術者になってくれることを期待した小学生向け体験型学習イベント「キッズエンジニア2025」を愛知県国際展示場(通称=アイチスカイエキスポ、愛知県常滑市)で開催した。自動車に関連するさまざまな分野の科学技術やものづくりに興味を持ってもらうための多彩なプログラムを体験してもらった。夏休み中の家族連れで賑わい、2日間で約4千人が参加した。
2008年にスタートしたキッズエンジニアは今回が17回目。横浜と愛知で隔年開催しており、愛知での開催は7回目で、アイチスカイエキスポでの開催は今回が初めて。
会場では、自動車メーカーや部品メーカーの現役エンジニアが講師となって、自動車に関連する技術の仕組みなどを説明する「教室型プログラム」23種と、「体験型プログラム」9種の計32種を実施した。
前回、プログラミング体験を実施したトヨタ自動車は今回、手作りのクルマを使って空気の力を体験する内容に刷新した。参加した子どもたちは粘土で形状を工夫したミニカーを使って「ミニ風洞実験装置」で空気の流れや抵抗力が変化することを体験してもらった。
ダイハツ工業は、車両組立ラインを模擬体験するプログラムを実施した。複数の子どもが協力して供給基地から組み付ける部品を運び、組み立てて完成品を検査するまでの流れ作業で模擬のクルマを製造した。参加した子どもらが責任感やチームワークの大切さを体験できる機会を提供した。実物の工具などを使ってプレス・溶接・組立・塗装の各工程の作業にも挑戦してもらった。
日産自動車が今回実施したのはプログラミング教室だ。タブレットを使ってプログラミングしたクルマが自動での走行・停止や、ライトを自動で制御するなど、ロボットカーづくりを体験してもらった。ホンダは、次世代クリーンエネルギーとして注目されている水素を学んでもらう機会を提供した。水素を燃料とする燃料電池の仕組みをイラストや動画で解説するとともに、燃料電池を組み込んだミニカーによるレースを体験してもらった。
イベントに初参加したTEコネクティビティジャパン(鶴山修司社長、川崎市高津区)は、レゴブロックで未来のマシンをつくる教室を開いた。指導役を務めた元トヨタのチーフエンジニアで、現在はNPO法人日本ソープボックスダービー協会の多田哲哉理事長は「若者のクルマ離れと言われて久しいが、子どもたちは何かをつくることに潜在的な興味がある。この中から1割でも2割でもエンジニアになってもらえたら」と、将来、技術者を目指すきっかけになることに期待を示した。
事前申し込みなしで参加できる展示型プログラムも人気だった。ニッパツは、巨大なばねから髪の毛より細いばねまで、形も大きさもさまざまなばねを展示するとともに、タッチパネル式の電子かるたやクイズも実施して、ばねの世界をゲーム感覚で学べる内容を目指した。
ここ数年のキッズエンジニアは、クルマに数多くの半導体が搭載されていることもありコンピュータープログラミングの体験が多かったが、今回はものづくりに原点回帰する内容も目立った。国内のほぼ全産業でデジタル人材が不足し、人材獲得競争が激化する中、自動車関連技術に興味を持ってもらうためには、子ども時代に実際にモノに触れて、ものづくりを体験してもらうことがより重要と見ているようだ。
(水町友洋・堀友香)
トヨタでは手作りのクルマを使って空気の力を体感
ダイハツでは組立ラインを模擬体験できた
プログラミング教室を実施した日産
TEコネクティビティジャパンの教室で指導役を務めた多田哲哉氏
カテゴリー | 社会貢献 |
---|---|
対象者 | キッズ・小学生,自動車業界 |
日刊自動車新聞8月7日掲載