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2025年8月4日

2025年の中古車輸出台数、過去最高の公算 1~6月が好調 新車回復や為替が後押し

 2025年の中古車輸出が過去最高となる可能性が高まってきた。日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)が公表した上期(1~6月)の輸出台数(車両価格20万円以上)は、前年同期比6.5%増の82万2801台だった。同期で最も高かった前年(77万2244台)の実績から5万台超伸ばした。仮に、このままのペースを維持できれば、単純計算で年166万台となる。現在の最高記録である24年の156万6621台を上回る公算が大きくなった。
 
 24年は中古車の輸出にも欠かせないコンテナの不足や、一部の国・地域での政情不安で海上輸送が混乱した。こうした中でも、日本からの中古車輸出は過去最高を更新し、世界での需要の高さを裏付けた。25年に入っても、世界各国で良質な日本の中古車を求めるニーズは高いまま。加えて、海上輸送を取り巻く環境も安定しており、輸出拡大に追い風が吹く。ある業界関係者は、「夏以降も海外からの日本車の引き合いは強い状態が続くだろう」とみている。

 為替も有利に働いている。上期は1㌦=140~160円で推移。一時に比べると円高になった局面があったものの、依然として日本車の割安感がある水準を維持している。海外のバイヤーにとっても好材料となっているもようだ。ある事業者は「1㌦=130円程度の円高に振れても、充分に利益を出せる」としており、まだ輸出を伸ばせる余地がある。

 新車市場の動きも後押しする。日本自動車販売協会連合会(自販連、加藤敏彦会長)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協、赤間俊一会長)の統計によると、1~7月の軽自動車を含む新車販売台数は前年同期比8・0%増の273万5977台。新車の販売が好調なことから、下取り車や買い取り車の発生も増え、中古車の流通も上向いている。輸出の母体になる商品も多くなるとみられることも、プラス要因だ。

 上期実績の仕向け地別では、アラブ首長国連邦(UAE)が同17・5%増の13万591台でトップだった。UAEは中古車出荷のハブ拠点になっており、周辺国の景気回復によって需要が高まったとみられる。一方、2位のロシアは、同12・9%減の8万3600台にとどまった。経済低迷により、中古車の需要が下振れしているという。

 一方、6月は前年同月比19.4%増の14万4072台となり、5カ月連続で前年同月を上回った。24年のこの時期は紅海の情勢悪化などで海上輸送が不安定だったため、反動増が生じたとみられる。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月4日掲載