2025年8月1日
自動車事故調、活動報告書「10年総括」を公表 大型トラック高速バスなど交通事故の要因分析
国土交通省は、大型トラックや高速バスなどの事故再発防止に向けて2014年に立ち上げた事業用自動車事故調査委員会の活動報告書「10年総括」を公表した。そこでは、運転手の連続勤務日数が長期化するほど事故の発生リスクが高まり、連続11日以上勤務した場合には、休日明け初日と比べ、事故発生の可能性が3倍以上になることを報告。さらに、イベント・データ・レコーダー(EDR)など最新技術を活用した調査・分析の重要性についても示した。
同調査委員会では、労働科学や社会学など8分野の有識者らが参画し、事業用車が絡む事故の構造的な要因を多面的に分析・解明。その成果を10年総括としてまとめた。
分析では、原因に応じて事故を5つのパターンに分類した。それらの中で「過労運転による居眠り事故」と「前方不注意による事故」のうち、4~5割は、深夜早朝勤務など「過重性・不規則性のリスクが大きい勤務体系」が事故の要因になったと指摘した。
ドライバーの休日明け1日目の「事故発生リスク」は0.06となったのに対し、勤務11日目以上になると比率が0.2に上昇した。このことから、勤務日数の長期化は事故リスクの上昇につながるとの見解を示した。
事故防止に向けては、調査に最新技術を活用する重要性も示した。事故によっては、ドライブレコーダーの焼失や当事者の死亡によって調査機会が喪失するケースが生じるため、EDRなど多様なデータソースを用いて情報を取得すべきと提言した。
対象者 | 自動車業界 |
---|
日刊自動車新聞8月1日掲載