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2025年8月1日

日整連・整商連会長、適正な価格転嫁のあり方を検討 2025年度内に取りまとめ

日本自動車整備振興会連合会(日整連)と日本自動車整備商工組合連合会(整商連)の喜谷辰夫会長は都内で30日に開いた記者懇談会で、2025年度に昨今の情勢に応じた適正な価格転嫁の在り方を検討して取りまとめる方針を示した。24年10月に始まった車載式故障診断装置(OBD)検査の導入などに伴う新たな整備料金の項目についても検討していく。また、未就学児や児童向けの新たな整備士体験ツールを作製するなど、親も含めて整備士の魅力を発信する。業界を取り巻く環境変化と諸課題に会員事業者が対応できるように、各種施策を充実させる考えだ。

 25年度の事業計画では、①新技術への対応②安定した整備事業に向けた対応③人材不足への対応④継続検査OSS(ワンストップサービス)の利用促進-の4項目について大きな取り組みの柱として掲げた。

 整備工場の安定経営には、高度化した整備技術への対応と合わせ、入庫台数の拡大や整備単価の引き上げによる収益力の強化が欠かせない。そのため、OBD検査などに伴う新たな整備料金項目の在り方や、整備単価の増加に結び付く適正な料金請求ができるツールを検討して取りまとめる。整備の現場を直撃している物価高や労務費の上昇なども踏まえた価格転嫁を実現することで、人材の確保や育成などにつなげてもらいたい考えだ。

 喜谷会長は、ある自治体が整備事業者に公用車の整備を依頼した際、非常に低い料金水準での予算額を提示した事例を挙げ、「こうした課題も表面化させ、業界全体が適正な料金水準を構築する環境づくりが必要」と訴えた。

 整備士を志望する若者を増やすための取り組みとして、未就学児や小学校低学年などの児童と、その親に対する情報発信と接触機会の拡大に力を入れる。「ボルト・ネジ締め付け体験ツール」を新たに作製して各整備振興会に配布し、親子で整備士の仕事体験を楽しめるイベントを開く。高校生に対しても整備士の魅力がより伝わるよう、発信する情報の内容などを工夫していく考えだ。

 不足している整備士の確保に向けては、関係省庁や他の自動車業界団体とも連携する。具体例として、10月30日から11月9日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」で、整備士仕事体験ブースの運営に参画する予定だ。

 子どもらを対象に将来の整備士を発掘・育成する取り組みについて、喜谷会長は「即効性を求めることは難しいが、少しずつ地道に積み重ねていくことが大切」と継続性の重要性を強調した。整備士の人材確保・育成には「職場環境や処遇の改善も必要だ」と、それぞれの事業者で離職を防ぐ対策が急務と述べた。

 今年度はこのほかにも、整備士の養成講習を充実するため、オンライン講習のプレ運用を行う予定だ。27年1月に「自動車整備士技能検定規則」などの一部改正が施行されることを受けて、「新一級自動車整備士教科書」も制作する。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞8月1日掲載