2025年7月31日
日本メーカーの2025年4~6月対米輸出、関税影響下でも堅調 卸値下げて価格据え置き
〝トランプ関税〟が直撃した4~6月の日本メーカーによる米国販売および北米向け輸出は、いずれも前年同期の実績を上回った。日本メーカーの多くは4月の自動車追加関税発動後も米国での販売価格を据え置き、目立って輸出を減らす動きも見られなかった。追加関税分は輸出前に吸収していたもようだ。関税の引き下げが決定し、自動車メーカーの負担は今より軽減される見通しだが、米政権の出方やインフレ圧力による米国市場の先行きなどリスクは依然として残る。
国内乗用車メーカーが発表した実績によると、米国で事業展開する6社の4~6月の米国販売は合わせて155万2400台(前年同期比2.9%増)だった。関税影響下でも堅調さを保ったが、メーカー別でみると、トヨタ自動車とホンダがプラスとなった一方で、日産自動車、スバル、マツダ、三菱自動車が前年割れと明暗が分かれた。トヨタとホンダは、強みを持つハイブリッド車(HV)が販売をけん引した。
6社が発表した輸出実績では、4~6月の北米向け(スバルのみ輸出総台数)の合計が同6.5%増の44万8204台となり、大きく台数を伸ばした。国別の輸出を公表しているトヨタは、米国向けの4~6月輸出が同14.6%増の14万9073台と2桁増となった。HVを中心とした旺盛な需要を踏まえ輸出も伸びている。
輸出が堅調な一方で、25%もの追加関税は自動車メーカーの収益に影を落としそうだ。財務省の貿易統計速報によると、6月の自動車輸出は台数ベースで前年同月比3.4%増となった一方で金額ベースでは同26.7%減と大きく落ち込んでいる。スバルが6月に一部のモデルで10万~30万円値上げしたが、大半は米国での販売価格を据え置くため、卸値を引き下げて追加関税を相殺したものとみられる。
日米関税交渉で、自動車(乗用車)の追加関税は25%から12.5%へ半減し、基本税率を加えた15%で着地した。税率が確定したことで、様子見だった自動車メーカーは対策を立てやすくなる。ただ、ある自動車メーカーの幹部は「長い目で見れば関税分を売価に反映することになるが、今は他社の動向を引き続き注視する必要がある」と値上げには慎重だ。
トランプ政権の保護主義政策が、米国の新車需要はもちろん、世界の経済や需要に与える影響も無視できず、各社は先行きを注視している。
自動車関税率は一応、確定したが…(イメージ)
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞7月31日掲載