2025年7月18日
国交省、自動運転車の収集データを道路管理へ 情報プラットフォーム構築し車両と相互連携
国土交通省は、自動運転技術の普及をにらみ、こうした車両が集めるデータを道路管理に生かせないか検討を始める。渋滞や落下物、逆走や道路陥没といった情報を車線ごとに把握して案内や対策、補修計画などに生かす。一方、臨時の通行止め情報などを車両側に提供し、自動運転車がより円滑に走行できるようにもする考え。今年度末にも政策の方向性をまとめる。
自動運転技術には、あらゆる走行シーンを想定し、運転制御をアルゴリズム(計算手順)であらかじめ規定しておく「ルールベース型」と、認知・判断・操作のすべてを人工知能(AI)が担う「E2E型」の2タイプがある。近年、台頭してきたE2E型は、ルールベース型に比べセンサー数が少なくて済み、3次元高精度地図が要らないなどの利点があるが、判断の根拠がブラックボックス化したり、臨時の通行止めなどAIの学習データが少ない交通状況ではスムーズに走れないなどの課題もある。
国交省は、こうした自動運転車がレーダーやカメラ、LiDAR(ライダー、レーザースキャナー)で集めるデータを道路管理の高度化に生かせないか検討する。具体的には車両側と道路管理者側が連携する情報プラットフォームを構築し、信頼性や匿名性を確保した上で、互いに必要なデータをやりとりできるようにする考えだ。
今後、新たに関係者による会議体を立ち上げ、自動運転車の走行と道路管理者のインフラ管理に必要な情報を精査するほか、海外の動向を踏まえ、必要な技術の洗い出しなどを進める。
「レベル4」(特定条件下での完全自動運転)以上の高度自動運転車をめぐっては、今年3月から新東名高速道路上で自動運転トラックの実証が始まった。一般道路でも路車協調システムを用いたレベル4車両の実装が進む。国交省は、こうした実証データも情報プラットフォームづくりに生かしていく。
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞7月18日掲載