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2025年7月10日

国産EV、新型ラッシュ 2025年度内に6車種発売予定

 2025年度は日本メーカーが相次いで電気自動車(EV)を発売する。ホンダとスズキは新型EV、トヨタ自動車とダイハツ工業、スズキは共同開発の軽商用EVを発売する。日産自動車は「リーフ」を全面改良する。トヨタ「bZ4X」の大幅値下げも含め、国産EV勢の販売動向が注目されるところだ。

 今年度は、22年度の〝EV元年〟を超える6車種(このうち3車種はトヨタ・ダイハツ・スズキの共同開発車)の国産EVが発売される。

 ホンダは、軽「N─ONE(エヌワン)」ベースのEVを出す。「N─VANe:(エヌバンイー)」に次ぐ2車種目で、乗用の軽EVは初めて。トヨタとダイハツ、スズキは共同開発の軽商用EVを売り出す。ダイハツの認証不正で発売が約2年遅れるものの、これで国産の軽商用EVが出そろうことになる。「生活の足」や物流の「ラストワンマイル」用途で活躍する軽は1日当たりの走行距離が短く、EVとの親和性は高いとされる。燃料高やガソリンスタンド(給油所)の減少もEVにとっては追い風だ。

 スズキは、世界戦略EV「eビターラ」を発売する。EVはコストの約3割を占める電池コストをどれだけ抑えられるかがカギだ。eビターラは国内初となるLFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池を採用する。英国での価格は2万9999㍀(約583万円)から。日本での価格設定も注目だ。

 日産は「リーフ」を8年ぶりに全面改良する。現行は5ドアハッチバックだが、新型はクロスオーバーSUVに車型を一新する。こちらも価格(現行車は約408万~約583万円)が注目される。

 国産EVが増える背景には「2030年度燃費基準」が5年後に迫る事情もある。30年度には16年度実績に比べて企業別平均燃費(CAFE)を3割以上、改善する必要があり、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を一定数、販売することが不可欠とされる。

 欧米のトップダウン型と異なり、日本は官民で達成実現度を綿密に擦(す)り合わせてさまざまな規制を決める。そういう意味では品ぞろえの拡充は想定通りで、EV比率もこれから着実に高まりそうだが、世界的に電池コストが思うように下がらず、EVを量販価格帯にシフトできない誤算もある。今後の販売動向が注目される。


日産の次期「リーフ」

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞7月10日掲載