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2025年6月26日

国土交通白書、整備士などの人手不足解消 外国人活用と省力化で 処遇改善も不可欠

 整備士不足への危機感が高まっている。政府の「省力化投資促進プラン」の対象業種になったことに加え、国土交通省は、このほど公表した「国土交通白書」を通じ「将来的な整備士不足を見据え、外国人材の活用と省力化投資を進めていく必要がある」と指摘した。具体的な施策として、2024年から5年間で1万人の特定技能実習生の受け入れや、整備士の処遇改善などを白書で例示した。

 今年の国土交通白書は、運輸や建設、自動車整備などの所管分野で担い手不足が深刻化している現状と課題を冒頭で特集した。サービス水準が低下すると困るものを調査したところ(対象3千人)、「断水・漏水」「鉄道やバス路線の廃止や減便」「宅配や郵便物が届くまでの時間が延びる」などに次いで、自動車の「点検・整備の予約ができない」との回答が寄せられたことを紹介した。

 白書はその上で、24年度の自動車整備技能登録試験の受験申請者数が過去最低の約3万5500人となったことも示し「今後もこの傾向が継続する場合、必要な自動車整備人材が確保できなくなる」と警鐘を鳴らした。整備事業者を対象に行った調査でも、人手不足が「大変深刻」「深刻」との回答が35%を超えているという。

 白書は、担い手不足の解消策として、外国人材の活用を例示した。政府は19年に「特定技能制度」を導入し、23年からは自動車整備業も特定技能2号の対象に加えた。28年度末までの5年間で、整備分野で1万人の特定技能生の受け入れを見込んでおり、白書も「今後さらに活用の場を広げていく必要がある」とした。

 政府が6月に示した「新しい資本主義実行計画」に基づく「省力化投資促進プラン」では、スキャンツール(外部故障診断機)などのデジタル機器を用いて、29年度までに整備業で25%労働生産性を向上させる目標も掲げた。白書でも「少ない人員でもサービス供給が維持できるよう新技術などの導入を促進していく」とし、今後の整備業では外国人材と省力化投資の両輪が重要になると見通した。

 また、既存の整備要員の定着に向けても、働き方の多様化が進むことを前提に「処遇を改善する必要がある」とした。フレックス勤務や女性用の作業機械の導入、資格・役職手当など具体例を提示し、導入を促した。


整備士不足が深刻化している(イメージ)

 

カテゴリー 白書・意見書・刊行物
対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月26日掲載