2025年6月17日
政府、「地方創生2.0基本構想」まとめ 交通空白の解消へ 人口減を前提に
政府は「地方創生2.0基本構想」をこのほどまとめた。10年後に目指す姿として、特定の地域に何らかの形で継続的に関わる人々(関係人口)を1億人、創出するほか、中堅企業の「付加価値」を年率4%以上で増やすことや、全国で約2千地区ある「交通空白地域」の解消などを目指す。将来的な人口減少を前提に、地方産業の再構築と生産性向上の二兎を追う。
「交通空白」には、日本版ライドシェアや自動運転技術で対処していく
地方創生は石破茂首相の看板政策だ。石破首相は、構想を閣議決定した13日に「意欲と能力のある民の力を最大限生かし、官民連携を強化していく」と語った。
人口減少を食い止める視点で立案してきたこれまでの政策を転換し、人口が減っていく中でも機能する産業構造の構築や制度設計に向けた取り組みを重視する。
これに向け、何らかの形で特定の地域に関わり続ける関係人口を年間1千万人ずつ創出し、10年後には1億人を目指す。関係人口は〝観光以上、移住未満〟とも例えられ、自治体の体験事業などを通じて特定地域と関わりを持ち続ける人々や、兼業・副業などを通じて関わり合う人々などを指す。新構想でも、都市部に住む人が多様な形で地方に関われるよう、副業・兼業の推進やデジタル技術の活用などを進める。
また、地方公共交通機関の衰退により生まれる交通空白地域において「日本版ライドシェア」の拡大や自動運転技術の普及を進める。安定した物流網を築くため「自動運転サービス支援道」やドローン(無人機)航路の整備、空飛ぶクルマの実装など、積極的に次世代技術を活用する方針も盛り込んだ。
地方経済のてこ入れに向けては、大企業を中心に本社機能などの地方移転を促す。27年度までに本社機能の移転・拡充に伴う従業員数を約1万人にすることを目指す。地場産品を域外に売り込む「地産外商」に取り組む中小企業を中心に設備投資支援などを積極化し、中堅企業への成長を後押しする。
今後、この基本構想をもとに具体的な計画をまとめ、総合戦略として年内に示す方針だ。
日刊自動車新聞6月17日掲載