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2025年6月13日

国交省、自動物流道路の候補ルート 新たに「圏央道」案

国土交通省は、高速道路の中央分離帯などを活用して貨物を無人搬送する「自動物流道路」の候補ルートに圏央道などを加える検討を始めた。圏央道沿線は物流倉庫の新増設が進んでおり、事業化にも向いていると判断した。技術やコスト、事業採算など課題が多いものの、技術や採算の検証などを積み重ね、2030年代半ばの整備を目指す。

 自動物流道路は国交省が昨年から検討に着手した。高速道路の中央分離帯や路側帯を活用したり、道路下に物流専用の地下トンネルを建設するなどし、自動輸送カートや自動運転車などで荷物を運ぶ構想だ。これまでに東京~大阪間で「農水産品」「軽工業品」、書籍や衣服などの「雑工業品」をICタグ付きのパレット(最大1㌧)で輸送する方針などが話し合われた。

 整備候補地はまず、東京~大阪間の高速道路上を基本に検討を進めてきたが、自動物流道路の実装に向けたコンソーシアム内の「ビジネスモデル分科会」で、関東地方など圏央道沿いの地域への延伸案も浮上した。物流倉庫が集積する地域を中心に整備地域を検討していくという。

 国交省は今後、国土技術政策総合研究所で輸送機器の走行性能などの実証に入る。荷役に必要な面積の検証や走行中に異常を検知した際の回避行動、トンネル内の自律走行の可否など6項目を検証する考えだ。結果を踏まえた上で必要な技術やサービスを精査し、今年度末をめどに報告書をまとめる。

 自動物流道路は海外でも構想されているが、事業化例はまだない。技術面に加え、建設や維持管理の主体や財源、利用や維持管理の主体や料金体系など、検討範囲が多岐にわたるためだ。国交省としても、事業モデルや運営のあり方など、さまざま面から慎重に議論を重ねていく考えだ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞6月13日掲載