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自動車産業インフォメーション

2025年6月5日

新車ディーラーの代車無償提供強要、自動車業界3団体が注意喚起

 新車ディーラーが代車の無償提供を下請けに強いたとして、国土交通省から注意喚起を求められた日本自動車工業会など業界3団体は、それぞれ通達内容を会員に周知した。関連法の改正を来年1月に控え、従来の取引慣行を改めて確認し、不断の見直しを行うことが求められそうだ。

 公正取引委員会は4月24日、自社が請け負った自動車の修理顧客に代車として貸し出すため、修理を委託した板金事業者に代車の無償提供を強要していたとして、スズキ自販大分(屋代進也社長、大分市)に下請法(下請代金支払遅延等防止法)に基づき、再発防止を求める「勧告」を出した。

 整備業界を所管する国交省も同月30日、日本自動車整備振興会連合会(日整連)会長、自工会のサービス部会長、日本自動車販売協会連合会(自販連)会長に対して注意喚起の通達を自動車整備課長名で出し「下請け事業者の利益を不当に害する行為を行わないこと」「特に代車の無償提供を要請しないこと」を求めた。

 自工会と自販連は会員企業に、日整連は地方の整備振興会にそれぞれ通達内容を周知した。自工会は「適正取引に向けた自主行動計画の中で、親事業者の義務・禁止行為の順守(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)を記載しており、法令順守を大前提に取り組む」としている。

 各団体はこれまでも会員向けの研修会を開くなどして下請法の順守を求めている。自販連札幌支部(池田義典支部長)は5月15日、公取委関係者を講師に迎えて下請法に関する研修会をオンラインで開いた。

 今国会で、下請法と「下請中小企業振興法(下請振興法)」がともに改正された。発注者と受注者が対等な関係に立ち、価格転嫁と取引の適正化ができる環境を整備するのが狙いだ。法律名も下請法は「中小受託取引適正化法」に、下請振興法は「受託中小企業振興法」にそれぞれ改められる。一部を除き、来年1月1日から施行予定だ。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 6月5日掲載