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2025年6月4日

2025年4月の米国向け輸出、トランプ関税の影響見られず 日米交渉の行方を注視

 日本自動車工業会(片山正則会長)がまとめた4月の米国向け乗用車輸出は、前年同月比6.7%増の11万3538台と、〝トランプ関税〟の影響は見られなかった。ただ、関税が長期化すれば輸出や生産体制の見直しが避けられず、日本からの輸出が減る可能性もある。各社は引き続き、日米交渉などの行方を注視していく。

 米国を含む北米に完成車を輸出しているのは、トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車、マツダ、スバル、三菱自動車だ。このうち北米向け輸出台数(スバルは非公表)が前年同月実績割れとなったのは、マツダと日産の2社にとどまった。両社ともに関税の影響ではなく、需給に応じて輸出が減少した。

 一方、トヨタは同8.0%増の5万4755台、ホンダは同6.2倍の3419台と大幅に輸出を伸ばした(ともに米国輸出)。ホンダは埼玉製作所(埼玉県寄居町)で2月から米国向けの5ドアのハイブリッド車(HV)仕様の生産を開始し、台数が大幅に増えた。ただ、関税影響を考慮し、6~7月をめどに米インディアナ工場に移管する計画。以降は台数も従来レベルに落ち着くとみられる。トヨタは追加関税発動後も日本からの輸出を減らしておらず、米国でのHV好調で台数が増えた。三菱自は、ほぼ前年並みの同0.8%増の1万79台だった。

 スバルは国・地域別の輸出台数を明らかにしていないが、輸出全体では同32.9%増の4万2348台だった。新型「フォレスター」のストロングハイブリッドモデルの効果により、米国を中心に台数が増えた。ただ、今後は米国でも生産を始める計画で、輸出は減少に転じる見通し。

 トランプ政権による関税政策は方針変更の可能性もあり、現状は各社様子見の状態だ。ただ、関税の長期化も見据え、値上げや生産体制の見直しなど〝次の一手〟を探っている。

対象者 一般,自動車業界

日刊自動車新聞 6月4日掲載