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自動車産業インフォメーション

2025年5月30日

急成長続く個人リース、2024年度末保有は過去最高の72万台 市場拡大は代替促進で

個人リース市場が右肩上がりで成長している。日本自動車リース協会連合会(JALA、髙島俊史会長)が28日に発表した2024年度末の個人リースの保有台数は前年比7.8%増の72万3599台となり、統計開始以来、過去最高を更新した。14年度末の15万台から10年で5倍に迫る規模に拡大した。「所有」から「利用」へのニーズの変化を背景に事業参入が進んだ結果、市場が広がった。もっとも増加率が2桁台に届かなかったのは9年ぶりで、成長には鈍化傾向もみられる。さらなる市場拡大には、今後増える満期車両の代替促進がカギを握りそうだ。

自動車リース保有台数は、前年同期比2.0%増の427万5436台だった。コロナ禍で一時縮小した法人向けも3年連続で増加したが、増加率は同0.9%増の355万1837台と伸びは限定的。リース市場全体に占める法人向けの割合も落とす中で、個人向けは同0.9㌽増の16.9%にまで上昇するなど好調さを裏付けた。

 存在感が増しているのは、自動車メーカーだ。トヨタ自動車系のKINTO(キント、小寺信也社長、名古屋市中村区)は19年の参入後、メーカーの強みを生かした納期の早さや独自商品の展開で事業を拡大。24年12月末時点の累計申し込み件数は13万7千件(一部法人向け含む)となり、10万件だった前年同期から1年で4割近く増加した。矢野経済研究所(水越孝社長、東京都中野区)がユーザー400人を対象に実施した調査でも「利用者の契約店舗はメーカー系ディーラーが最も大きな割合」だったという。

 リース事業者や信販会社なども個人向けの拡大に余念がない。オリックス自動車(内藤進社長、東京都港区)は今年2月に個人・小規模事業者向けのカーリースブランド「オリックスカーリース」を立ち上げた。従来複数に分かれていたリースブランドを一本化し、認知拡大を図る。信販系ではオリコオートリース(OAL、小齋博樹社長、東京都台東区)を傘下に持つオリエントコーポレーションが3月にDeNA SOMPOカーライフ(現オリコカーライフ、川南雅俊社長、東京都新宿区)を連結子会社した。同社が持つ保険代理店の販路を活用し、個人向けの拡大を目指す。

 個人向け市場の拡大が進む中、満期車両の発生件数も増加傾向にある。市場参入が早かった事業者は「今年が満期車両のピークになる」(リース事業者)という。認知拡大による新規の獲得と並行し、代替需要の獲得に向けた早期提案なども競争軸になりそうだ。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月30日掲載