2025年5月29日
国交省、オフサイクル燃費技術の基準づくりへ LEDライトやオルタネーターなどの効果を基準達成に反映
国土交通省は、自動車の燃費測定時には分からない「オフサイクル燃費向上技術」の基準づくりに入る。まず、LEDライトや高効率オルタネーター(発電機)を念頭に具体的な技術を選び、使用頻度を踏まえた燃費改善効果を算出。一定の上限を設け、これらの燃費改善効果を2030年度燃費基準の達成判断に特例として組み込めるようにする。国交省がどの技術を選ぶかも注目される。
自動車の燃費は車体を測定装置(シャシーダイナモメーター)に固定し、擬似的に一定条件(モード)下で走らせて測るため「モード燃費」とも呼ばれる。オフサイクル燃費向上技術は、このモード燃費には反映されないものの、実燃費の向上につながる技術や装置を指す。具体的にはLEDランプ、高効率化したオルタネーターやエアコン、熱マネジメントシステム、アイドリングストップ機構、排熱回収装置、空力改善部品、熱線反射/吸収ガラスやフィルム、ソーラールーフパネル、などがある。欧米や中国では、こうしたオフサイクル技術を「クレジット」として燃費基準達成に用いる制度がすでにある。日本も30年度燃費基準を策定した20年当時、オフサイクルクレジット制度の導入方針が示され、国交省と経済産業省が合同会議で昨年から検討を進めてきた。
合同会議では、オフサイクル技術を「モード試験では評価されない実燃費向上に資する優れた省エネ技術で、型式指定車への導入が見込まれるもの」と定義し、新技術と従来技術が持つエネルギー効率の差分に技術ごとの係数をかけ、クレジットを算出する方針を決めた。
具体的なオフサイクル技術の選定や差分の考え方、係数の設定などは今後、国交省が検討する。新車の開発期間を踏まえると、制度化は1~2年先とみられる。オフサイクルクレジットの対象技術は自動車メーカーが積極採用する公算が大きく、素材・部品メーカーにとっては新たな商機となる。
現行の30年度基準は、出荷台数に応じた企業別平均燃費基準(CAFE)で25.4㌔㍍/㍑の達成を求めている。16年度に比べて32.4%の改善だ。ハイブリッド車が多いトヨタ自動車ですら達成は道半ばとされ、自動車各社は今まで以上に燃費改善や電動化を進め、かつこうしたエコカーを積極的に売る必要がある。
オフサイクル燃費向上技術は、部品各社にとっても新たな商機に(イメージ)
対象者 | 自動車業界 |
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日刊自動車新聞5月29日掲載