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2025年5月26日

部工会の2025年度重点事業計画 取引適正化「まだまだ努力必要」 トランプ関税は中小含め影響注視

 日本自動車部品工業会(部工会、茅本隆司会長)は22日、都内で会見し、取引適正化など2025年度の重点事業計画を公表した。茅本会長は「取引適正化は一定の成果が出ているが、労務費転嫁やサプライチェーン(供給網)全体への浸透には課題があり、まだまだ努力が必要だ。型取引問題についても、残念なことに会員企業が下請法違反の勧告を受けている。今年も適正な型管理の徹底などに襟を正して取り組む」と語った。トランプ米政権の追加関税をめぐっては、政府や日本自動車工業会(自工会、片山正則会長)と連携し、撤廃交渉や中小企業への資金繰り支援策、国内のものづくり力の維持・強化を含めた対応を求めていく方針を示した。

 
         茅本会長

主な質疑応答は次の通り。

 ―〝トランプ関税〟の部品業界への影響について

 茅本会長「具体的な数字としてまとめるまでには至っていないが、中小企業への影響も含めて注視したい。(コスト上昇分の按分については)メーカーからサプライヤーへ具体的な話はまだ来ておらず、自工会と部工会の間でもまだ話し合ってはいない。問題が長引くようであれば、双方でどう負担するか、特に取引適正化の流れの中でどう対応してもらえるか、しっかり対話していく」

 ―米国への生産移転などに伴う国内の産業空洞化への懸念は

 茅本会長「メーカー各社の方針にもよるが、長い目で見ると自動車が米国で売れなくなり、日本からの輸出量が減る。国内部品メーカーの中には大手を中心に米国生産を増やすところもあるだろうが、国内での生産や技術開発、ものづくり力が減退するのは怖い。日本の自動車産業全体のものづくり力の維持・強化のため、一時的な資金繰りや研究開発のための資金調達などについても政府に要望していきたい」

 ―会員企業で金型取引不正などが相次ぐ中、取引適正化に向けた取り組みは

 齋藤克巳副会長「昨年6月に公表した自主行動計画で、型の廃棄や保管費用の支払いについて明記した。今年に入って会員で問題が発生したことを受け、緊急点検を実施したところ、多くの企業で従来からの根深い商習慣が明らかになった。自工会とも連携して、供給網全体でどのように解決するか、具体例、具体策を出しながら進めているところだ」

 ―東南アジアに中国メーカーが進出していることへの受け止めは

 茅本会長「例えば日系メーカーの牙城であるタイでは中国メーカーが進出し、サプライヤーも連れて来ている現状がある。主には電気自動車(EV)シフトと連動した動きだが、一時の急速な伸びは止まった印象だ。今後どうなるのか、よく見て対応したい。日本の部品メーカーは、すり合わせの中でいいものを確実に適正価格で供給することを続けてきた。個社の政策にもよるが、単純な価格競争にはならないだろう。一概に中国系サプライヤーが来たから日系メーカーと離れるということはないと思っているし、ないようにしたい」

 ―中国でレアアース(希土類)の輸出規制が強化されたが、部品業界へ及ぼす影響への懸念は

 白柳正義副会長「中国に限らず、特定国に依存している材料は多岐にわたる。部工会として、各材料の規制状況を一覧にまとめて会員企業に提供し、対策を促しているが、レアアースの(輸出規制強化の)影響は間違いない。自工会や政府と連携して対応していきたい」

 ―日産自動車の経営再建策への受け止めは

 茅本会長「(自身が会長を務める)ニッパツで言えば、車で10分のところに日産の工場があり、影響は大きい。部工会としても予備検討はするが、まだ分からないことが多く、会長としては全く答えようがない」

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月26日掲載