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自動車産業インフォメーション

2025年5月23日

経産省、FC商用車普及の重要地域は5地域6都県 水素1kg当たり700円補助

経済産業省は、燃料電池(FC)商用車の需要を率先して喚起する「重点地域」に5地域6都県を選んだ。この地域の水素ステーション(水素ST)には、軽油と水素の燃料費の差額に対し、水素1㌔㌘当たり約700円(差額の4分の3程度相当)を追加的に補助する。幹線輸送など長距離を走り、FCV化の利点が高い商用車の燃料費を補助することで、FCVの普及を後押しする考えだ。

 従来は、車両の購入や水素STの建設に補助金を支給しており、燃料費を補助するのは今回が初の試みとなる。重点地域に選定したのは、登録されている商用車の輸送量や高速道路での一日当たりの走行台数などが一定水準を満たしている東北(福島県)、関東(東京都、神奈川県)、中部(愛知県)、近畿(兵庫県)、九州(福岡県)の5地域6都県。

 これらの水素STにおいて、現在は事業者負担となっている軽油と水素の調達コストの差額を一部、国が補助する。重点地域内には、全国の半数以上にあたる約90拠点の水素STがある。

 長距離を走り、積載スペースの確保が必要な大型商用車は、大量の電池を積む電気自動車(EV)化が難しく、FCVに向く。水素ST側にとっても、水素を大量に消費するため、採算が合いやすい利点がある。

 大型FCトラックはトヨタと日野自動車が共同で開発を進めているほか、いすゞ自動車もホンダと組んで2027年の導入を目指している。

 政府は、30年度の水素導入目標として、自動車分野で年間約8万㌧程度を掲げている。この目標を達成するには、小型トラックで累計1.2万台~2.2万台、大型トラックで累計5千台、バスで年間200台を走らせる必要があるという。課題の一つとなっている燃料費を補助することでこうした車両の普及を促していく。

対象者 自動車業界

日刊自動車新聞5月23日掲載